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業界動向

衛星直結のAIカメラトラップ、通信圏外の熱帯雨林でゾウを検知し密猟防止へ

公開 拡散指数 36

スターリング大学とHack the Planetが開発したAI搭載カメラトラップのガボン熱帯雨林での試験結果が公開。Wi-Fiや携帯電波のない環境でAIがゾウを82%の精度で即座に識別し、衛星経由で平均7分以内に監視員へ自動通知します。

衛星直結のAIカメラトラップ、通信圏外の熱帯雨林でゾウを検知し密猟防止へ
画像:petapixel.com

深い熱帯雨林の中で野生動物を守る活動は、これまで途方もない手間がかかっていました。

従来の自動撮影カメラ(トレイルカメラ)はSDカードに映像を保存するため、保護官が何週間もかけて現場へ回収しに行く必要がありました。密猟者や野生の群れが写っていても、データを確認した頃には手遅れです。

英スターリング大学の研究チームとスタートアップのHack the Planetは、人工衛星と直接通信するAI搭載カメラトラップを開発しました。携帯の電波もWi-Fiもない孤立した密林でも、リアルタイムで警告を飛ばせます。

ネット圏外の熱帯雨林から7分で衛星アラート

このカメラの大きな特徴は、端末側でAI処理を完結させ、通信衛星と直結させた点です。

動物と人間の画像を数千枚学習させた軽量AIがカメラ内で画像を即座に判別します。不審者やゾウを検知すると、地上の基地局を経由せず、直接衛星回線を使って保護官や村へ通知を送ります。

研究チームは中部アフリカ・ガボンの遠隔地の熱帯雨林で実証実験を行い、専門誌『Methods in Ecology and Evolution』に成果を発表しました。

72日間のテスト期間中、5台のカメラシステムが800枚以上の写真を撮影し、うち217枚でゾウを捉えました。AIによるゾウの認識精度は82パーセントに達し、撮影から平均7分で保護官にアラートが届いたといいます。

密猟対策と農民・ゾウの衝突回避

ガボンでの取り組みは、密猟防止だけでなく人間と野生動物のトラブル防止にも直結しています。

英タイムズ紙によると、ガボンには絶滅危惧種であるアフリカスミスゾウが約9万5000頭生息しており、これは世界全体の約7割にあたります。

しかし、ゾウが農地を荒らす被害が深刻化しており、農民が自衛や報復のために年間約50頭のゾウを駆除・射殺する事態が起きていました。村に近づくゾウをAIが検知して素早く知らせることができれば、人的被害やゾウの殺害を防ぐ猶予が生まれます。

なぜ重要か

このシステムの賢い点は、重い写真データを送るのを諦め、端末側のエッジAIで判定して文字情報に近いアラートだけを衛星に飛ばしたところにあると考えます。

電波の届かない森林地帯において、衛星回線で大容量データを送れば莫大な通信費がかかり、バッテリーもすぐに尽きてしまいます。低消費電力のエッジ処理と低帯域の衛星通信を組み合わせることで、資金力に限りのある自然保護現場でも現実的に運用できる道を開きました。

一方で、認識精度82パーセントと約7分の通知タイムラグは、現場運用においてまだ改善の余地があります。7分あればゾウが畑を食い荒らすには十分であり、誤報が続けば保護官の警戒疲れを招きかねません。

それでも、これまで数か月遅れの「記録確認」に過ぎなかった野生動物保護の現場を、「即時対応」へと変える転換点になることは確かです。今後は密猟対策だけでなく、山火事監視や災害対策など、インフラが存在しない遠隔地全般に応用が広がりそうです。

情報源 (1)

  1. [1]
    petapixel.com(新しいタブで開きます)原文petapixel.com

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