Salesforce、生成AI向けファンドを5億ドルに倍増 HumaneやTribbleにも出資
Salesforce Venturesは、生成AIスタートアップ支援ファンドの規模を従来の2.5億ドルから5億ドルへ倍増させた。すでに投資済みのAnthropicやCohereに加え、新たにHumaneやTribbleを投資先へ追加。企業向け生成AIエコシステムの主導権確保を急ぐ。

大半のソフトウェア企業が既存ツールにどうAIを組み込むか悩んでいる間に、Salesforceは巨額の資金を投じて有望な開発チームの囲い込みに動いた。
同社の投資部門であるSalesforce Venturesは、生成AIスタートアップに特化したファンドの運用規模を、当初の2億5000万ドルから5億ドルへと倍増させた。
今年3月の立ち上げからわずか数カ月での増額であり、企業向けAIの主導権争いに対する本気度がうかがえる。
出資先には有力モデルから次世代エージェントまで
同ファンドは立ち上げ当初、大規模言語モデルのAnthropicやCohere、関係性管理に特化したHearth.AI、検索エンジンのYou.comの4社を支援対象としていた。
今回の規模拡大に伴い、元Apple幹部らが立ち上げたウェアラブルAI企業のHumaneと、営業やマーケティングの業務連携を自動化するAIエージェントを手がけるTribbleの2社が新たに加わった。
さらに、AnthropicとCohereに対する追加出資も行われており、企業向け基盤モデルへの関与を一段と強めている。
基礎的な言語モデルから業務特化型エージェント、さらには次世代の端末まで、ポートフォリオは企業向けワークフローの全体を網羅しつつある。
資金提供以上の価値を持つ顧客基盤
AIスタートアップにとって、Salesforce Venturesから出資を受けるメリットは単なる資金調達にとどまらない。
Salesforceは長年にわたり世界中の大企業と強固な取引関係を築いており、これまでにもSnowflakeやZoom、Stripeなどの成長を初期段階から後押ししてきた。
多くの企業がAI導入にあたってセキュリティや信頼性を懸念する中、Salesforceの後ろ盾があることは顧客獲得における決定的な信頼につながる。
Anthropicの共同創業者であるDaniela Amodei氏も、安全で責任ある形でClaudeをエンタープライズ市場へ届ける上で、この提携が大きな推進力になると述べている。
なぜ重要か
私たちは、Salesforceのこの動きを、自らのCRM帝国を守るための巧妙かつ迅速な防衛策だと見ている。
生成AIの進化によって、従来のSaaS製品は自律型エージェントに業務を丸ごと代替されるリスクに直面している。将来の競合になり得る挑戦者たちに先んじて出資し、自社のエコシステムに引き入れるのは極めて合理的だ。
ユーザー企業にとっては、最先端のAI技術が使い慣れた業務システムの中に統合され、安全に導入しやすくなるという実利がある。
一方で、スタートアップ側には特定プラットフォームへの依存度が高まり、他社クラウドとの連携で制約を受ける懸念も残る。
とはいえ、企業向けAIエコシステムの覇権争いにおいて、5億ドルの資金枠を整えたSalesforceが一歩リードした格好だ。競合する大手クラウド各社にも追随の圧力がかかるだろう。
情報源 (1)
- salesforce.com(新しいタブで開きます)原文salesforce.com