QuoraのPoe、AIボット開発者の収益化プログラムを開始
QuoraのAIプラットフォーム「Poe」はボット制作者向け収益化プログラムを開始した。プロンプトボットや外部連携ボットを通じ、有料会員獲得につながれば最大20ドルが還元され、メッセージごとの課金も順次導入予定。現在は米国クリエイター限定で提供されている。

クリエイターといえば、YouTubeやTikTok、Instagramでコンテンツを発信する人を思い浮かべるのが一般的でした。しかし、大規模言語モデルへのプロンプト作成者やボット開発者にも、直接報酬が支払われる時代が始まっています。
Quoraが運営するAIチャットボットプラットフォーム「Poe」は、ボット作成者向けの収益化プログラムを開始しました。Poe上でプロンプトを設定して作成する「Prompt Bot」だけでなく、外部サーバーからAPI経由で接続する「Server Bot」の開発者も報酬獲得の対象となります。
サブスク誘導で最大20ドルの配分
今回発表された収益化の手法は大きく分けて2種類あります。
1つ目はすでに開始されているサブスクリプション収益の分配です。開発者のボットがきっかけとなって一般ユーザーがPoeの有料会員に登録した場合、プラットフォームから報酬が支払われます。年間プランの登録では最大20ドル、月額プランでは10ドルが原資として確保され、転換に寄与したボット作者の間で分配されます。支払いはStripe経由で行われますが、現時点では米国在住のクリエイターに限定されています。
2つ目はメッセージ従量課金モデルです。開発者がメッセージ1通あたりの利用価格を自由に設定し、ユーザーが送信するたびにQuora側が費用を支払う仕組みで、近日中の公開が予定されています。高額なボットについては送信回数に制限が設けられたり、有料会員限定の提供になったりする見込みです。
累計1800万DL突破も、収益化の加速が急務
Quoraは2月にPoeを一般公開し、OpenAIやAnthropicなどの主要モデルを横断して利用できるハブとして展開してきました。生成された良質な回答は、月間4億人が訪れるQuora本サイトのQ&Aにも活用していく方針を掲げています。
調査会社Apptopiaの推計によると、Poeのモバイルアプリは初月に25万3530回ダウンロードされ、10月24日時点の累計インストール数は1840万回を超えました。月間アクティブユーザーも約122万人に達しています。一方で、同社によるアプリ内課金の月間売上推計は25万ドル未満にとどまっています。Web版(月額19.99ドルまたは年額199.99ドル)での課金者も多いとみられますが、モバイル単体での収益化はまだ途上です。
QuoraのCEOであるAdam D'Angelo氏は、教育、専門知識、セラピー、エンタメ、ロールプレイなど幅広い分野のボットが活躍するとみており、新たな市場の幕開けだと意気込みを示しています。
なぜ重要か
私たちは、この施策をクリエイター支援という名目を借りた、Poeによる巧妙なユーザー獲得戦略だと捉えています。
個人開発者やプロンプト作者にとって、独自のアプリUIや決済基盤を用意することなく、アイデア一本で収益化を目指せる環境は魅力的です。しかし、現時点で得られるのはサブスク転換1件あたり最大20ドルというアフィリエイト的な報酬に近く、これだけで持続可能な事業を築くのはまだハードルが高いと考えられます。
業界全体で見れば、モデル自体の性能差が縮まりコモディティ化が進む中、Poeは独自のボット資産を囲い込むことでプラットフォームの防壁を作ろうとしています。OpenAIなどの対抗馬が類似のストア機能を本格化させる前に、開発者コミュニティを先行して確保する狙いは極めて合理的です。
一方で課題となるのは品質維持です。メッセージ送信や有料誘導に金銭的インセンティブが結びつくことで、登録を執拗に迫る悪質なボットや、過剰な対話を誘発するスパムが増える懸念があります。Poeがプラットフォームとしての品位をどう守り抜くかが今後の試金石となります。
情報源 (1)
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com