PerplexityがNVIDIA「Nemotron 3 Super」を導入:アプリやAPIで利用可能に
PerplexityはNVIDIAの高性能モデル「Nemotron 3 Super」を全製品ラインに導入したと発表した。メインアプリに加え、Agent APIおよびPerplexity Computerで即日利用可能となっており、一般ユーザーの検索から開発者のエージェント構築まで幅広く対応する。

マルチエージェントシステムを構築した経験がある人なら、履歴のやり取りで文脈が膨らみ切るコンテキスト爆発と、単純なサブタスクにまで高コストな推論モデルを使って動作が重くなる思考税の壁にぶつかったことがあるはずです。
NVIDIAはこうした課題に対応するオープンモデル「Nemotron 3 Super」を発表しました。総パラメータ数は120Bですが、推論時にアクティブになるのは12Bに抑えられています。検索エンジンのPerplexityも即座に対応を発表し、検索アプリ、Agent API、そして複数のモデルを連動させるPerplexity Computerの全ラインナップに本モデルを導入しました。
MambaとTransformerを融合したハイブリッドMoE
Nemotron 3 Super最大の特徴は、アーキテクチャの大胆なハイブリッド設計にあります。長大なシーケンスを線形計算量で効率よく処理するMamba-2層と、特定情報の精密な検索に長けたTransformerのアテンション層を交互に配置し、その外側をMoEで包み込みました。
さらに「Latent MoE」と呼ばれる新技術を採用しています。トークンを直接エキスパートへ渡すのではなく、圧縮された潜在空間に一度射影してから計算させる仕組みです。これにより、従来のMoEと同じ計算コストのまま、4倍のエキスパートを呼び出すことが可能になりました。
複数トークンを同時に予測するMTPや、Blackwell向けに最適化されたネイティブNVFP4事前学習も組み合わさり、前世代のNemotron Super比で5倍以上のスループットを達成しています。NVIDIA B200上では、H100のFP8環境と比べて推論速度が最大4倍に達します。100万トークンのコンテキストウィンドウを備え、Agent性能を測るPinchBenchでは85.6パーセントを記録しました。
Perplexityの全製品群へ即座に展開
Perplexityは発表と同時に自社エコシステムへ組み込みました。一般ユーザーは通常の検索で利用できるほか、開発者はAgent API経由で呼び出し可能で、Perplexity Computer内では連携動作する20基のオーケストレーションモデルの1つとして稼働します。
Perplexity以外にも、CodeRabbitやFactory、Greptileといった開発支援ツールがコード解析の低コスト化を目的に採用を決めています。エンタープライズ領域でもPalantir、Siemens、Cadenceなどが、半導体設計や産業自動化のワークフローに組み込む動きを進めています。
NVIDIAは重みデータだけでなく、10兆トークンを超えるデータセットや強化学習環境のレシピまでオープンライセンスで公開しました。
なぜ重要か
自律型Agentを開発しているエンジニアにとって、今すぐ検証する価値が極めて高いモデルが登場したと言えます。コードベース全体や膨大なログを分割せずに100万トークンの空間へそのまま流し込み、12Bのアクティブパラメータという軽量さで高速に処理できる点は、実運用でのコストと遅延を大幅に引き下げます。
業界全体で見ると、NVIDIAが単なるGPU販売にとどまらず、ハードウェアとモデル構造の垂直統合を強めている点が注目されます。MambaとTransformerの混成構造をBlackwellのNVFP4仕様に最適化することで、他社製チップへの乗り換えを防ぎ、自社の最新ハードウェアエコシステムへ顧客を強く引き留める狙いが見えます。
一般的なチャットベンチマークを競うのではなく、マルチエージェント運用で誰もが悩むスループットに照準を合わせた点は賢明だと評価できます。ただし、アピールされている劇的な高速化の恩恵をフルに受けるにはBlackwell世代のマシンが前提となるため、既存のH100環境を抱えるチームがどこまで恩恵を体感できるかは冷静に見極める必要があります。
情報源 (3)
- x.com(新しいタブで開きます)原文x.com
- developer.nvidia.com(新しいタブで開きます)報道developer.nvidia.com
- blogs.nvidia.com(新しいタブで開きます)報道blogs.nvidia.com