本文へスキップ
IFAI

業界動向

米アカデミー賞が新規定、AI生成の俳優パフォーマンスと脚本を対象外に

公開 拡散指数 56

米映画芸術科学アカデミーは金曜日、AI生成の演技や脚本をオスカー選考から除外する新規則を発表した。受賞対象は本人の同意のもと人間が演じたもの、および人間が執筆した脚本に限定され、アカデミー側はAIの利用状況を調査する権利も保持する。

米アカデミー賞が新規定、AI生成の俳優パフォーマンスと脚本を対象外に
画像:techcrunch.com

亡くなった俳優が AI で映画に蘇り、バーチャル俳優が話題をさらう中、映画芸術科学アカデミーが明確な境界線を引きました。

アカデミーは 2027 年初頭に開催予定の第 99 回アカデミー賞に向けた参加資格規定の改定を発表し、生成 AI による演技や脚本を対象から正式に除外しました。

人間の同意と執筆を義務付け

新規定によると、演技部門の選考対象となるのは、作品の正式なクレジットに記載され、本人の同意を得た上で人間が実演したことが証明できる演技に限定されます。

脚本部門についても同様で、ノミネート資格を得るには人間によって執筆されたことが必須条件となりました。

さらにアカデミー側は、映画制作における AI の使用状況や人間による創作性の証明について、制作陣に詳細な情報開示を要求する権利を保持すると明記しています。

バル・キルマー氏の AI 再現が契機に

今回の規則改定の背景には、急速に進むデジタルクローン技術への危機感があります。

直近では、コエルテ・ヴーアヒーズ監督のインディペンデント映画『As Deep as the Grave』がシネマコンで予告編を公開し、大きな議論を呼びました。この作品では、故バル・キルマー氏の AI デジタルレプリカが神父役として登場しています。

遺族である娘の同意を得て制作されたものですが、故人の AI 生成演技が映画本編で使われる現実を突きつけられた業界側は、ルール作りを迫られました。

また、AI 女優のティリー・ノーウッドの台頭や、2023 年の俳優・脚本家組合による大規模ストライキの経緯、さらには出版界での AI 作品の回収騒動など、表現分野全体で排除の動きが強まっています。

なぜ重要か

私たちは、アカデミーによるこの判断を極めて現実的で賢明な防衛策だと評価しています。VFX やポスプロの効率化ツールとしての AI を全面否定するのではなく、演技や物語の執筆という人間の核心的な創作領域に防波堤を築いたからです。

俳優や脚本家にとっては、権威ある賞の舞台から合成アバターや完全自動生成テキストが締め出されたことで、雇用と創作の価値が一定程度守られたと言えます。

一方で、運用面の課題は残されています。現在の映像制作では、実写の演技に微細なデジタル補正や AI による表情調整を加えるケースが日常化しており、どこまでが人間の実演でどこからが合成なのか、境界線を客観的に見極めるのは困難です。

脚本についても、プロットの推敲やリサーチに AI を活用した場合に、どの水準から人間執筆とみなすのか明確な基準が問われます。2027 年の授賞式に向けて、アカデミーがどこまで実効性のある検証を行えるかが焦点となります。

情報源 (2)

  1. [1]
    techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com
  2. [2]

毎日のAIピックアップ