本文へスキップ
IFAI

オープンソース

FrontisがOpenRSIを公開:35Bモデルが単体GPUで機械学習を自己改善

公開 拡散指数 48

Frontisは再帰的自己改善を目指すオープンソース基盤「OpenRSI」とFrontis-MA1モデルを公開した。起草や修正、デバッグなど4つの基本操作で探索ループを構築し、12GB制限のRTX 4090単体でGPT-5.5を超えるMLE性能を達成。「AIがAIを改善する」プロセスを実証可能なエンジニアリングへと落とし込んだ。

FrontisがOpenRSIを公開:35Bモデルが単体GPUで機械学習を自己改善
画像:github.com

OpenRSIは、「AIがAIを改善する」という再帰的自己改善(RSI)のプロセスを実行可能なエンジニアリング基盤として具現化したオープンソースプロジェクトです。機械学習エンジニアリング(MLE)のタスクに焦点を絞り、巨大なクラスタを必要とせず、民生用GPU単体でコードの自動改善と長時間の進化探索ループを回せるように設計されています。

何ができるのか

OpenRSIが扱うのは、AI自身がコードを書き、実験を実行し、エラーログを見て自律修正を繰り返すという実用的な課題です。検証環境を提供するOpenMLE-Gym、実行フィードバックを伴う学習基盤OpenMLE-RL、長時間探索ランタイムのOpenMLE-Evo、そしてこれらを駆動するために学習されたFrontis-MA1モデルで構成されます。

最大の特徴は、モデルの学習時と推論時のアクション空間を統一した点にあります。新規生成を行うDraft、実行結果を元に改善するImprove、バグを修正するDebug、複数の有用コードを交配するCrossoverという4つの基本操作を定義。Frontis-MA1はこれら4つの操作をSFTと強化学習(RL)を通じて習得しており、探索時にそれ自体がコード進化の変異エンジンとして振る舞います。

また、従来の全実行履歴をプロンプトに詰め込む方式を廃止し、操作ごとに必要な証拠だけを取り出す有界コンテキスト検索を採用しました。類似フレームワークであるAIRA-Evoと比較してトークン消費量を41.7%削減しながら、100万トークンあたりの有効な発見効率を84.3%引き上げています。

性能とハードウェア要件

提供されるFrontis-MA1モデルは35Bと30Bの2サイズで、通常のBF16形式に加えて量子化済みのGGUF形式も公開されています。

検証におけるハードウェア制約は極めて実用的で、VRAMを12GBに制限したGeForce RTX 4090単体、各タスク12時間の探索バジェットという条件下で実験が行われました。

MLE-Bench Liteにおいて、探索フレームワークOpenMLE-Evoを固定したままベースモデルをFrontis-MA1 35Bに置き換えたところ、メダル獲得率は39.39%から60.61%へと大幅に向上。非同期マルチGPU探索を用いるOpenMLE-Evo-Max構成では71.21%に達し、GPT-5.5とCodexの組み合わせを上回り、GPT-5.6 Solや2.8兆パラメータのKimi K3に迫る数値を記録しました。

さらに、訓練データに含まれない未見のNatureBench Liteでも検証を実施。評価環境を固定してモデルのみを置き換えた場合はSOTA到達率が50%から70%に向上し、ベースモデルを固定してフレームワークのみをOpenMLE-Evoに切り替えた場合も20%から50%へと跳ね上がりました。

なお、開発陣はこれらのスコアがあくまで探索システム全体(モデル+フレームワーク)による成果であり、単一推論のスコアではないこと、また汎用的なRSIではなく有界なメタ進化(Meta-Evolution)にとどまることを明確に注記しています。

導入手順と試し方

コードとモデル、関連データセットはGitHubのFrontisAI/OpenRSIリポジトリですべて入手可能です。探索ランタイムのほか、分離環境で安全にコードを実行するOpenMLE Sandbox、タスクスイートOpenMLE Tasks、学習トレースデータOpenMLE SFT Tracesも公開されています。

リポジトリをクローンし、Python 3.12環境を構築すれば、付属のスクリプトからNatureBenchの単一タスクを用いたローカル動作検証(smoke profile)が可能です。ローカルのSGLangサーバやリモートAPIと連携させて、手元で探索ループを立ち上げることができます。

なぜ重要か

AIエージェントによる自動コーディングやモデル改善に関心があるエンジニアにとって、OpenRSIは極めて再現性が高く、研究価値のあるプロジェクトです。「AIが自らを改善する」という議論が過熱する中、それをDraft、Improve、Debug、Crossoverという4つの具象操作へと落とし込み、重みからサンドボックスまで全スタックを公開した意義は小さくありません。

特に評価できるのは、12GBという厳しいメモリ制限下で成果を出した設計のスマートさです。文脈をむやみに膨らませず、実行フィードバックと強化学習を直結させることで、35B規模のオープンモデルでも閉源の巨大モデルと渡り合えることを証明しました。ただし、コードの実行成否という明快なフィードバックが存在する領域だからこそ成立している側面も強く、この自己改善サイクルをより広範で曖昧な科学研究へと拡張できるかは今後の課題と言えます。

情報源 (1)

  1. [1]
    github.com(新しいタブで開きます)原文github.com

毎日のAIピックアップ