Odyssey、世界モデル「Agora-2」公開:最大20人の人間とAIがリアルタイムに同時接続
Odysseyは最大20人の人間とAIエージェントがリアルタイム生成世界で相互作用できる世界モデル「Agora-2」のプレビュー版を公開した。『ディアブロ II』のデータを学習し、共有状態を維持しながら各視点の映像を生成する。ロボットや自動運転などのマルチエージェント検証を加速させる狙いがある。

これまでの世界モデルは、基本的に一人用のゲームのようなものでした。AIは単一の視点のためだけに映像を生成し、仮想世界はそのプレイヤー一人のためだけに回っていました。
Odysseyは9月24日、次世代マルチエージェント世界モデル「Agora-2」のプレイアブル研究プレビューを公開しました。前世代のAgora-1と比べて5倍となる、最大20人の人間とAIエージェントが、リアルタイムに生成される単一の仮想世界で同時に接続し、相互作用できるようになっています。
20人の視点を支える「ニューラルゲームエンジン」
複数の参加者が生成世界に同時接続する際、最大の壁となるのは整合性です。それぞれの画面でAIが勝手な幻覚を見せてしまえば、マルチプレイは一瞬で崩壊します。
Agora-2は、全体を学習済みのゲームエンジンのように機能させることでこの問題を解決しました。シミュレーションモデルが参加者全員の属性や直近の行動、周囲の空間関係を把握し、相互の影響を計算してワールドサーバー上の共有グローバル状態を更新します。
この共有状態は個別のカメラ視点から独立しているため、誰かが視界の外に出てもその存在や行動が失われることはありません。更新された状態をもとに、フローマッチングで訓練されたレンダリングモデルが、参加者それぞれの視点に応じた映像をリアルタイムに生成し続けます。
『ディアブロ II』から相互作用を学習
複雑な移動や駆け引きのルールを教え込むため、Odysseyはブリザードの名作ゲーム『ディアブロ II』のプレイデータを学習に採用しました。
映像、操作ログ、内部状態をペアにした大量のデータを読み込ませることで、物理法則や判定ルールを手作業でプログラムすることなく、モデル自身がキャラクター同士の干渉や位置取りを学習しています。さらに強化学習を使って、障害物を避けたり見失った相手を追跡したりできるエージェントも育成しています。
加えてPROWLと呼ばれるプロジェクトを通じて、エージェントが世界モデル内で経験した失敗をモデル自体の改善データとして活用し、世界とエージェントが相互に進化する仕組みも模索しています。
なぜ重要か
Agora-2が示した成果は、世界モデルが単なる映像生成の枠組みを超えて、実用的なマルチエージェント検証環境へと進化し始めた点にあると私たちは考えています。
自動運転やロボット協調、防衛やサイバーセキュリティの領域では、複数の主体が協調や対立を繰り返す環境が不可欠です。従来のようにエンジニアが膨大な時間を使ってルールを手作業で記述するシミュレータに対し、データから学んだ世界モデルを使えば、より柔軟かつ低コストに安全な実験場を構築できます。
特にAIエージェント同士の共謀やサイバー攻撃といった未知の脅威を研究する上で、実システムを危険に晒すことなく挙動を検証できるサンドボックスの需要は急速に高まっています。
一方で、20人分の画面をニューラルネットワークでリアルタイム生成し続ける計算コストは依然として膨大です。より長時間のシミュレーションにおいて因果関係の破綻をどこまで防げるかなど、実用化に向けた検証課題も残されています。
情報源 (1)
- odyssey.systems(新しいタブで開きます)原文odyssey.systems