本文へスキップ
IFAI

業界動向

NVIDIAがThinking Machines Labと提携、1ギガワット規模のRubinを展開へ

公開 拡散指数 65

NVIDIAはミラ・ムラティ氏率いるThinking Machines Labと複数年の戦略的パートナーシップを結び、多額の出資を行うと発表した。来年初頭に次世代Vera Rubinシステムを少なくとも1ギガワット規模で配備し、フロンティアモデルの訓練に活用する。AIインフラ競争はギガワット規模の時代に突入した。

NVIDIAがThinking Machines Labと提携、1ギガワット規模のRubinを展開へ
画像:blogs.nvidia.com

元 OpenAI の最高技術責任者であるミラ・ムラティ氏が立ち上げた新興 AI 企業が、業界屈指の計算リソースを一気に確保しました。

NVIDIA と Thinking Machines Lab は現地時間の 3 月 10 日、複数年にわたる戦略的パートナーシップを締結したと発表しました。来年初頭を目標に、少なくとも 1 ギガワット(GW)規模となる次世代 NVIDIA Vera Rubin システムを導入する計画です。

さらに NVIDIA は、同社の長期的な成長を支援するため、Thinking Machines に対する巨額の戦略的投資も実施しました。

創業メンバー流出の直後に結んだ巨大契約

データセンターで 1 ギガワットという規模は、通常は巨大テック企業や国家プロジェクトでしか耳にしない数字です。2025 年 2 月に設立されたばかりの企業が確保する計算力としては、極めて異例の規模と言えます。

Thinking Machines は設立からわずか 1 年余りで、a16z や Accel などから 20 億ドル以上を調達し、評価額は 120 億ドルを超えています。ライバルである AMD の投資部門からも出資を受けていましたが、最終的なインフラ基盤としては NVIDIA を選んだ形です。

一方で、同社は直近で激しい人材流出に見舞われていました。共同創業者の一人であるアンドリュー・タロック氏が昨年 10 月に Meta へ移籍したほか、今年初めにはバレット・ゾフ氏、ルーク・メッツ氏、サム・シェーンホルツ氏の 3 名が古巣の OpenAI へ復帰しています。

そうした混乱の中での今回の発表は、開発体制が揺らいでいないことを市場に示す狙いがあります。同社は昨秋、再現性のある AI 出力を目指す API「Tinker」を公開しており、今回確保した Rubin システムを用いて、さらなるフロンティアモデルの学習と推論システムの共同開発を進める予定です。

なぜ重要か

今回の動きは、NVIDIA が単なるチップ供給者にとどまらず、AI 業界の勢力図そのものを調整する黒幕として機能していることを物語っています。

Thinking Machines にとって、この発表は最大の信頼回復策です。共同創業者が相次いでライバル企業に戻った直後だけに、業界最先端の 1 ギガワット規模のハードウェアを確保できたという事実は、顧客や求職者に対する強烈なメッセージになります。同社のプラットフォームや Tinker API を検討している企業から見れば、少なくとも計算資源の不足で開発が頓挫するリスクはほぼ消えたと言えます。

ただし懸念も残ります。膨大な計算資源を手に入れても、それを使いこなすトップ研究者がいなければ宝の持ち腐れになりかねません。OpenAI に戻った精鋭たちの穴をどう埋め、他社と明確に差別化されたモデルを出せるかは、依然として不透明です。

業界全体から見れば、フロンティアモデル開発への参入障壁が「ギガワット単位」にまで跳ね上がったことを意味します。ジェンスン・フアン CEO が掲げる数兆ドル規模のインフラ需要を取り込みつつ、OpenAI 一強を牽制するために新興勢力を囲い込む NVIDIA の戦略は極めて巧妙ですが、中小の開発企業にとっては追随不可能な格差がさらに広がる結果となりそうです。

情報源 (3)

  1. [1]
    blogs.nvidia.com(新しいタブで開きます)原文blogs.nvidia.com
  2. [2]
    techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com
  3. [3]
    theverge.com(新しいタブで開きます)報道theverge.com

毎日のAIピックアップ