NVIDIA調査:小売企業の約9割がAIの導入または実証実験を実施中
NVIDIAが発表した調査によると、小売・消費財企業の89%が業務でAIを導入またはテストしていると回答しました。94%が運用コストの削減効果を実感しており、生成AIの主な活用先はマーケティングコンテンツ作成と予測分析となっています。

小売業界におけるAI活用は、もはや単なる話題作りの段階を完全に脱したようです。
利益率の薄い小売や消費財(CPG)ビジネスにおいて、費用対効果の出ない技術が生き残ることはありません。NVIDIAが発表した第2回年次「State of AI in Retail and CPG」調査レポートからは、AIがバックオフィスや店舗の現場、そしてサプライチェーンの奥深くまで浸透している実態が浮き彫りになりました。
数百名の業界関係者を対象とした調査によると、89%の企業が日常の業務でAIを本格運用しているか、実証実験の段階にあると回答しました。この数値は2023年の82%からさらに上昇しています。さらに、87%がAI導入によって年間売上が向上したと答え、94%が年間運用コストの削減に成功したと回答しました。これだけの成果を前に、実に97%の企業が次期会計年度のAI投資を増額すると答えています。
マーケティングから現場の在庫管理まで
生成AIの普及スピードも目を見張るものがあります。回答企業の80%以上が生成AIをすでに本番導入しているかテスト中であり、データセキュリティや導入コストへの懸念を抱えつつも、93%が来期の生成AI予算を増やす予定です。
生成AIの具体的な用途としては、マーケティング用コンテンツ生成が60%で首位となり、予測分析が44%、パーソナライズ広告が42%、顧客分析が41%、デジタル買い物アシスタントが40%と続きます。また、半数以上の小売企業が、すでに6つ以上の異なる業務領域でAIを並行運用しています。
リアル店舗における用途の上位は、在庫管理、分析インサイト、来店客に合わせた適応型広告です。一方で、過去1年間でサプライチェーンの課題が深刻化したと答えた企業は59%に達し、その対策として58%が効率改善、45%がコスト削減のためにAIを現場に投入しています。
ただし、課題も残されています。2024年に最も多く挙げられた障害は、理解しやすく説明可能なAIツールの不足でした。中身がブラックボックスのままでは、現場の担当者が安心して判断を任せられない実情が伺えます。
なぜ重要か
今回の調査結果は、小売業界におけるAI評価の基準が「目新しさ」から「徹底した費用対効果の追求」へと完全に切り替わったことを示していると考えられます。
まだ導入を迷っている小売事業者にとって、マーケティング素材の自動生成やパーソナライズ推薦といった敷居の低い領域は、いま試すべき現実的な投資先と言えます。すでに9割前後の先行企業が売上増やコスト減を実感している以上、何もしないこと自体が競争上のハンディキャップになりかねません。
一方で、現場が「AIの説明可能性」を強く求めている点は示唆に富んでいます。商品の発注や在庫配分といった失敗の許されない領域では、AIがなぜその数値を導き出したのか納得できなければ、現場への定着は望めません。
今後ベンダー側に求められるのは、単に高度な推論モデルを提供するだけでなく、業務プロセスの中で判断理由を明示できるAIエージェントや、現場スタッフが直感的に扱えるインターフェースの構築になりそうです。
情報源 (1)
- blogs.nvidia.com(新しいタブで開きます)原文blogs.nvidia.com