NVIDIAがDLSS 3.5を発表:光線再構築でレイトレ画質を向上
NVIDIAはGamescomでDLSS 3.5を発表した。新機能「Ray Reconstruction(光線再構築)」を導入し、スーパーコンピュータで訓練されたAIネットワークが従来のデノイザーを置き換える。全RTX GPUに対応し、今秋の『サイバーパンク2077』などで利用可能になる。
リアルタイムレイトレーシングでゲームの光や影は格段に美しくなりましたが、従来のノイズ除去処理のせいで、水面の反射がにじんだり細かいディテールがぼやけたりする現象に悩まされてきました。
NVIDIAは8月22日、ドイツで開催中のGamescomにて「DLSS 3.5」を発表しました。今回の目玉はフレームレートの底上げだけでなく、長年職人技の手作業でチューニングされてきたノイズリダクションを、AIネットワークに置き換える点にあります。
手作業のノイズ除去を廃止し、AIが光を再構築
レイトレーシングでは、描画負荷を抑えるために一部のピクセルのみ光線をサンプリングし、不足した情報をデノイザーと呼ばれるノイズ除去技術で補間します。しかし従来のデノイザーは、激しい動きの際に残像を生んだり、本来あるべき鋭い光の反射をぼかしてしまう弱点がありました。
DLSS 3.5が導入した「Ray Reconstruction(光線再構築)」は、この課題を根本から解決します。NVIDIAのスーパーコンピュータでDLSS 3の5倍に及ぶデータを学習したAIネットワークが、反射やグローバルイルミネーション、影などの光追跡パターンを正確に識別し、空間的・時間的なデータを賢く判断して高解像度化します。
これにより、DLSS 3.5は光線再構築、超解像、DLAA、フレーム生成を統合したスイートとなりました。嬉しいことに、光線再構築機能は最新のRTX 40シリーズだけでなく、すべてのGeForce RTXシリーズで利用可能です。
この秋の注目作である『サイバーパンク2077:仮初めの自由』や『Alan Wake 2』、『Portal with RTX』がDLSS 3.5に対応予定です。さらにゲームだけでなく、D5 RenderやChaos Vantage、NVIDIA Omniverseといった3D制作ツールにも順次導入され、クリエイターが最終レンダリングを何時間も待たずにプレビューできるようになります。
感情豊かなNPCとクラウドサービスの強化
GamescomではDLSS以外にも注目の発表が相次ぎました。
ゲーム向けAIサービス「NVIDIA ACE」には新技術「NeMo SteerLM」が導入されました。開発者がNPCの性格や感情のパラメータを柔軟にカスタマイズできるようになり、より人間味のあるリアルな対話が実現します。
コミュニティの取り組みとして、有志のModチームによる『Half-Life 2 RTX』のプロジェクトも進行中です。フルレイトレーシングやDLSS 3、Reflex、RTX IOをフル活用して往年の名作が蘇ります。
クラウドゲーム「GeForce NOW」では、RTX 4080サーバーポッドが北米と欧州で完全配備され、今後はMicrosoftストアとの連携によりXbox PC Game Passのタイトルが順次ストリーミングプレイ可能になります。
なぜ重要か
これまでのDLSSは「画質をできるだけ落とさずにフレームレートを稼ぐ」ための手段と見なされがちでした。しかしDLSS 3.5の光線再構築は、AIを使うことで従来のグラフィックスアルゴリズムよりも純粋に「綺麗な絵」を作り出せることを証明しています。
今回最も評価できるのは、光線再構築を初代RTX 20シリーズを含むすべてのRTXユーザーに開放した点です。前バージョンのフレーム生成機能が40系専用だったことで不満を抱いていた既存ユーザーをしっかり救済し、ゲーム開発者がレイトレーシング前提の作品を作りやすい土壌を整えました。
グラフィックス競争の主戦場は、物理的なシリコンの演算性能から、学習モデルとニューラルレンダリングのソフトウェア力へと完全にシフトしています。機能ごとに対応世代が異なるためユーザーにとってDLSSの仕様がやや複雑怪奇になりつつあるものの、PCゲームの映像美を引き上げる堅実な一歩であることは間違いありません。
情報源 (1)
- blogs.nvidia.com(新しいタブで開きます)原文blogs.nvidia.com