NVIDIA、ローカル環境で生成AIを微調整できる「AI Workbench」を発表
NVIDIAは開発者向けツール「NVIDIA AI Workbench」を発表した。開発者はRTX搭載PCやワークステーション上で、Hugging Faceなどのモデルを数クリックでカスタマイズし、クラウドやデータセンターへ拡張できる。あわせてAI Enterprise 4.0も発表された。

企業で独自の生成AIモデルを開発しようとすると、環境構築だけで何日も浪費することが珍しくありません。リポジトリを探し回り、依存関係の解消に追われ、開発初期から高価なクラウドコストが発生してしまいます。
SIGGRAPHの基調講演に登壇したNVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、この摩擦を取り払う新ツール「NVIDIA AI Workbench」と、企業向けソフトの新版「NVIDIA AI Enterprise 4.0」を発表しました。
デスクトップで試作しクラウドへ直結
AI Workbenchは、WindowsやLinuxを搭載したNVIDIA RTX搭載PCやワークステーション上で動作する、統合開発ツールキットです。
Hugging FaceやGitHub、NVIDIA NGCなどの主要リポジトリから事前学習済みモデルを取り込み、社内データを使って数クリックでファインチューニングやテストを実行できます。
開発したワークロードは、ローカル環境からデータセンターやパブリッククラウド、さらにはNVIDIA DGX Cloudへとシームレスにスケールさせることが可能です。
すでにDell、HPE、HP、Lenovo、Supermicro、Lambdaなどの大手PC・サーバーベンダーが対応を表明しています。また、200万人のユーザーを抱えるHugging Faceとの連携も発表され、プラットフォーム内からDGX Cloudの計算リソースへ直接アクセスできるようになります。
本番運用を支えるEnterprise 4.0
商用環境への導入を支援するため、NVIDIAはソフトウェア基盤の最新版「NVIDIA AI Enterprise 4.0」もあわせて発表しました。
この最新版には、大規模言語モデル構築フレームワークのNeMoや、Kubernetes環境での推論サーバー運用を自動化するTriton Management Serviceが含まれます。
AWS、Google Cloud、Microsoft Azure、Oracle Cloudなどのマーケットプレイスで提供されるほか、SnowflakeやServiceNowといったエンタープライズ製品、各種MLOpsツールとの統合も進められます。
ハードウェア面でも、144基のArm Neoverseコアと282GBのHBM3eメモリを備え、8ペタフロップスのAI性能を誇る次世代GH200 Grace Hopper Superchipプラットフォームが披露されました。こちらは2024年第2四半期にパートナーから出荷される見通しです。
なぜ重要か
開発者にとって、AI Workbenchは試行錯誤のハードルを大幅に下げてくれます。手元のRTX搭載PCで自社データを安全に使いながら、手軽にプロトタイプを作れるため、初期段階から高額なクラウド請求に悩まされる心配がありません。
業界全体に対する影響として、NVIDIAはローカルPCからクラウドインフラまでのパイプラインを完全に一体化させました。開発者がローカル環境でNVIDIAのツールに慣れ親しめば、本番運用の段階でも自然とNVIDIAのエコシステムから離れられなくなります。
今回の施策は、開発者への利便性提供に見せかけて、自社のクラウドやハイエンドGPUへ顧客を誘導する極めて巧妙な囲い込み戦略だと私たちは考えます。競合ハードウェア企業がこの開発者体験の差を埋めるのは容易ではないはずです。
情報源 (2)
- nvidianews.nvidia.com(新しいタブで開きます)原文nvidianews.nvidia.com
- blogs.nvidia.com(新しいタブで開きます)報道blogs.nvidia.com