設立4週間の仏Mistral AI、1.13億ドルのシード調達でオープンソースAIへ
創業から4週間の仏スタートアップMistral AIは、評価額2.6億ドルで1.13億ドルのシード資金を調達したと発表した。DeepMindやMeta出身の研究者が立ち上げ、公開データで訓練したオープンソースモデルを2024年に提供予定だ。独自独占型に対抗し、オープン路線で企業需要の獲得を狙う。

設立からわずか4週間、まだプロダクトも公開していないフランスのスタートアップが、シードラウンドで1億500万ユーロ(約1億1300万ドル)を調達しました。評価額は2億4000万ユーロ(約2億6000万ドル)に達しています。
パリを拠点とするこの会社の名は Mistral AI。OpenAI のようなプロプライエタリなアプローチに対抗し、オープンソースと企業向け活用を前面に掲げています。
LLaMA の立役者が集結した理由
共同創業者である Arthur Mensch 氏(CEO)、Timothée Lacroix 氏(CTO)、Guillaume Lample 氏(最高科学責任者)の3人は全員30代前半で、学生時代からの仲間です。
Mensch 氏はパリの Google DeepMind 出身で、Lacroix 氏と Lample 氏は Meta のパリ AI 研究所に所属していました。特に Lample 氏は、現在のオープンソース AI ブームの火付け役となった Meta の「LLaMA」開発を主導した人物です。
リード投資家である Lightspeed Venture Partners の Antoine Moyroud 氏は、大規模言語モデルの構築と最適化を真に理解している人材は世界に70人から100人程度しかおらず、そのトップタレントがここに集まったと語っています。
投資家リストには米欧の有力VCのほか、元 Google CEO の Eric Schmidt 氏やフランス政府系投資銀行の Bpifrance など、錚々たる名前が並んでいます。
オープンソースとデータ透明性で挑む
創業チームが問題視しているのは、OpenAI をはじめとする現在の最先端モデルが急速にブラックボックス化している現状です。
Mistral の計画は、モデルだけでなくトレーニング用データセットもオープンソースとして提供することです。法的な著作権リスクを避けるため、学習には公開データのみを使用し、企業が自社の独自データを持ち込んで追加学習できる設計を目指しています。
最初のテキスト生成モデルは2024年にリリースされる予定です。Lightspeed は、基盤モデル市場をクラウドインフラと同じ構造と捉えており、最終的に世界で5〜6社が市場の大半を握ると見込んでいます。
なぜ重要か
今回の資金調達は、生成AIの覇権争いにおいて欧州が独自の対抗軸を打ち立てた瞬間と言えます。
企業や開発者にとって、最先端のモデルが米国の数社のクラウドに独占される状況は、ベンダーロックインやデータガバナンスの面で大きなリスクです。特にデータ主権を重視する欧州企業にとって、自社環境で動かせる高精度なオープンソースモデルが存在する価値は極めて高いと考えられます。
業界全体にとっても、Meta の LLaMA 開発者が自前の会社でオープン路線を推進することは、閉鎖的なフロンティアモデル勢に対する強い牽制になります。透明性やライセンスの扱いを巡る競争が、より健全な方向に加速するはずです。
もっとも、1億ドル超の資金も先端モデルの計算資源費用を考えれば決して余裕がある額ではありません。公開データのみに制限した学習でどこまでトップレベルの性能を出せるのか、2024年の初号機が出るまでは真価を見極める必要があります。
情報源 (1)
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com