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マイクロソフト、Windows MLを正式提供:端末側AIをNPU・GPUで高速化

公開 拡散指数 39

Microsoftは端末向けAI推論基盤「Windows ML」の一般提供を開始した。AMD、Intel、NVIDIA、Qualcommの各チップに対応し、アプリに重いランタイムを同梱せず数十から数百メガバイトの容量を削減可能。Windows 11 24H2以降で利用できる。

マイクロソフト、Windows MLを正式提供:端末側AIをNPU・GPUで高速化
画像:blogs.windows.com

WindowsアプリにローカルAI機能を組み込もうとすると、これまでは頭の痛い問題がつきまとっていました。AMD、Intel、NVIDIA、Qualcommといったチップごとに別々の最適化コードを用意し、それぞれの重たいランタイムをインストーラーに抱え込ませる必要があったため、アプリの容量はあっという間に数百メガバイトも膨らんでいました。

日本時間9月23日、MicrosoftはオンデバイスAI推論ランタイム「Windows ML」の一般提供(GA)を開始したと発表しました。Build 2025で初めて披露されたこの機能が、いよいよ商用本番環境で利用可能になります。

アプリを軽量化し、乱立するチップをOS層でまとめる

Windows MLは、ハードウェアとアプリケーションの間に立つ抽象化レイヤーとして機能します。ベースはオープンなONNX Runtime(ORT)と互換性があり、開発者は使い慣れたAPIやONNX形式のモデルをそのまま活用できます。PyTorchのモデルも、VS Code拡張機能のAI Toolkitを使えばスムーズに変換可能です。

最大の実用的なメリットは、アプリサイズの劇的な削減です。各社チップに最適化された実行プロバイダー(Execution Provider、EP)の配布や更新をWindows OS側が肩代わりし、必要なコンポーネントを動的にセットアップします。これにより、開発者は自前でランタイムを同梱する必要がなくなり、インストーラーの容量を数十から数百メガバイト削ることができます。

主要シリコンメーカーも足並みを揃えています。AMDはRyzen AI向けのVitis AI EPを提供し、IntelはOpenVINOを統合してCore Ultra搭載PCに最適化しました。QualcommはSnapdragon XシリーズのNPU向けにQNN EPを用意し、次世代のSnapdragon X2への対応も予告しています。NVIDIAもRTX GPU向けにTensorRT EPを投入し、DirectML比で50%以上の推論高速化を実現したとアピールしています。開発者はNPUを使った省電力優先か、GPUを使った性能優先かをコード側から簡単に指定できます。

Adobeからセキュリティ対策まで、実アプリでの採用が加速

すでに多くの有力ソフトウェアがWindows MLへの移行を進めています。

AdobeはPremiere ProとAfter Effectsにおいて、NPUを用いたメディアライブラリのセマンティック検索や音声タグ付け、シーン編集検出などをWindows ML上で動かす準備を進めており、将来的には既存のローカルモデルを全面的に移行する方針です。動画編集ソフトのFilmoraも、NPUを活用したリアルタイム人体エフェクトの描画に利用しています。

プライバシー重視のツールでも採用が目立ちます。McAfeeはSNS上のディープフェイク動画や詐欺の検出を端末内で完結させ、BUFFERZONEはフィッシング対策のリアルタイム解析をクラウドにデータを送らずに実行します。そのほか、Webカメラ画質を向上させるCamoや、医療現場向けの音声操作支援を行うDot Vista、画像補正ツールのTopaz Photoなどが導入を進めています。

なぜ重要か

私たちは、Windows MLの正式リリースによって、AI PCの議論が「NPUスペックの誇示」から「実用的なソフトウェア基盤の整備」へようやく前進したと考えています。これまでどれだけ高いTOPS値を宣伝されても、ハードウェアごとに実装を分けなければならない状況では、開発者がローカルAI機能を本格導入するのは割に合わない投資でした。

ゼロから独自規格を押し付けるのではなく、実績のあるONNXエコシステムをそのまま土台にし、チップ各社にEPの保守を委ねたアプローチは非常に現実的で賢明です。デスクトップ開発者にとっては、配布パッケージを劇的に軽量化でき、ワンビルドで幅広いPCに配信できるため、今すぐ試す価値が十分にあります。

懸念点を挙げるなら、各社EPの完成度やドライバー更新に伴う動作のばらつきです。Microsoftは互換性認証を行うとしていますが、PC環境の多様さを考えると、チップ間での挙動差を完全にゼロにできるかは注視する必要があります。それでも、AppleのCore MLに対抗しうる共通基盤がWindowsに整った意味は大きく、デスクトップアプリのローカルAI化に弾みがつくのは間違いありません。

情報源 (1)

  1. [1]
    blogs.windows.com(新しいタブで開きます)原文blogs.windows.com

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