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研究

マイクロソフトが「Project Ire」発表:AIが自律的にマルウェアを逆コンパイルして解析

公開 拡散指数 33

マイクロソフトは未知のソフトウェアを自律的に逆コンパイルして解析するAIプロトタイプ「Project Ire」を発表した。LLMと各種解析ツールを連携させ、人間の介入なしにAPT脅威を特定してDefenderで遮断した。誤検知率を極めて低く抑えており、Defenderへの統合が予定されている。

マイクロソフトが「Project Ire」発表:AIが自律的にマルウェアを逆コンパイルして解析
画像:microsoft.com

正体不明のバイナリファイルをゼロから逆コンパイルして解析するリバースエンジニアリングは、サイバーセキュリティの世界で最も泥臭く、高度な専門性が求められる作業です。

Microsoftが発表した自律型AIは、この難関作業を丸ごと代行しようとしています。

Microsoft ResearchはMicrosoft Defender ResearchおよびDiscovery & Quantumチームと共同で開発した「Project Ire」を公開しました。人間の手がかりなしに未知のファイルを自律的に逆コンパイルし、悪性か良性かを判定するプロトタイプです。

驚くべきことに、Microsoft社内で特定のAPTマルウェアに対して自動ブロックに足る判定レポートを単独で作成した最初のエンジニアは、人間ではなくこのProject Ireでした。その後、Defenderはこの解析結果をもとに該当マルウェアを正式に遮断しています。

リバースエンジニアリングツールをAIが自ら操作

マルウェア解析を自動化するのが難しかった理由は、保護機能やコードの難読化が悪意によるものか正規の保護なのか、境界線が極めて曖昧だからです。

Project Ireは、大規模言語モデルにGhidraやangr、Project Fretaに基づくメモリ分析サンドボックスなどの解析ツールをAPI経由で直接操作させる手法を採りました。

バイナリのトリアージから制御フローグラフの再構築、主要関数の個別逆コンパイルまでをAIが反復的に実行します。そのすべての思考プロセスは「証拠の連鎖」として記録され、人間のチームが後から監査できるようになっています。

さらに、推論の妥当性をチェックする検証ツールも組み込まれており、根拠が薄い判定をAI自身が差し戻す仕組みも備えています。

Windowsドライバを用いた評価テストでは、適合率98パーセント、再現率83パーセントを記録し、良性ファイルの誤検知はわずか2パーセントにとどまりました。

なぜ重要か

Microsoft Defenderは世界中で月間10億台以上のアクティブデバイスを保護していますが、高度な脅威の判定には依然として専門家による手作業の解析が欠かせず、アナリストの疲弊が長年の課題となっていました。

モデル単体の勘に頼るのではなく、本物のデパイラを操らせて監査可能な証拠ログを残すアーキテクチャにした点は、実用性において極めて賢明だと考えます。ブラックボックスになりがちなAIの出力を、セキュリティチームが信頼して採用できる形に落とし込んでいるからです。

一方で、83パーセントという再現率は、裏を返せば約2割の脅威を見逃す可能性があることを示しています。人間のリバースエンジニアを完全に置き換える段階にはまだありませんが、滞留する膨大な未知の検体を一次スクリーニングする相棒としては、現場の負担を劇的に減らす一手になりそうです。

情報源 (1)

  1. [1]
    microsoft.com(新しいタブで開きます)原文microsoft.com

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