本文へスキップ
IFAI

業界動向

英CMA、MicrosoftによるInflection AI人材引き抜きを調査へ

公開 拡散指数 42

英競争市場庁(CMA)はMicrosoftによるInflection AIの人材採用および提携に対し、合併規則に基づく第1段階の調査を開始した。共同創業者のムスタファ・スレイマン氏を含む中核メンバーの大半を引き抜いた行為が実質的な買収にあたるかを審査し、9月11日までに詳細調査へ移行するか判断する方針だ。

英CMA、MicrosoftによるInflection AI人材引き抜きを調査へ
画像:theverge.com

スタートアップの創業者と大半のスタッフを引き抜き、会社そのものを買収しないという手法は、規制逃れとみなされるのか。英国の競争規制当局がそのメスを入れました。

英国の競争・市場庁(CMA)は、マイクロソフトによるInflection AIの人材採用および提携について、合併規則に基づくフェーズ1調査を正式に開始しました。当局は9月11日を期限とし、より詳細なフェーズ2調査へ移行するかどうかを判断します。

採用を装った「実質的な買収」へのメス

問題視されているのは、今年実施されたマイクロソフトによる大型採用です。Google DeepMindの共同創業者であり、Inflection AIを立ち上げたMustafa Suleyman氏が、同社の技術スタッフの大部分を引き連れてマイクロソフトの新AI部門に移籍しました。Suleyman氏は現在、Microsoft AIのCEOを務めています。

マイクロソフトの広報担当Robin Koch氏は、人材の採用は競争を促進するものであり、合併として扱われるべきではないとコメントしました。同社は調査を迅速に完了させるため、CMAに必要な情報を提供するとしています。

英欧の規制当局は、大手IT企業がAI分野で進める出資や提携への監視を強めています。CMAは以前、フランスのMistral AIとマイクロソフトの提携も精査しましたが、その際は正式な調査基準を満たさないと判断していました。

しかし、今回は本格的な調査へと踏み切りました。マイクロソフトはActivision Blizzardの買収時にもCMAから激しい追及を受け、最終的にクラウドゲーム事業の権利を手放すなどの譲歩を強いられた経緯があります。

なぜ重要か

私たちは、今回の調査がビッグテックによる「買収逃れの裏ワザ」に対する重大な警告になると見ています。

企業そのものを買収すると各国の独占禁止法審査で何カ月も足止めされるため、大手企業はチームとライセンスだけを引き抜く疑似的な買収を編み出しました。しかし、実質的に競合スタートアップの骨抜きを図る行為である以上、当局が見過ごすはずはありませんでした。

もし9月にフェーズ2への移行が決まれば、マイクロソフトのAI戦略の中核を担うSuleyman氏らの体制に何らかの制約や見直しが迫られるリスクがあります。

AI業界全体にとっても、スタートアップが大手に事実上吸収される形でイグジットを図るハードルが一気に上がりました。今後は人材採用や業務提携であっても、通常の大規模M&A並みの規制リスクを覚悟する必要が出てきています。

情報源 (1)

  1. [1]
    theverge.com(新しいタブで開きます)原文theverge.com

毎日のAIピックアップ