マイクロソフト、15Bの推論特化型マルチモーダルモデル「Phi-4-reasoning-vision-15B」をオープン公開
マイクロソフトは150億パラメータのマルチモーダル推論モデル「Phi-4-reasoning-vision-15B」の重みを公開した。わずか2000億トークンの学習データで訓練され、競合モデルと比べて大幅に計算コストを抑えつつ、数学・科学の推論や画面操作(GUI)の認識で高い性能を発揮する。

Phi-4-reasoning-vision-15Bは、マイクロソフトが重みをオープンソースとして公開した150億パラメータのマルチモーダル推論モデルです。比較的手頃なハードウェアで動作するサイズ感を保ちながら、高度な推論力と実用的な処理速度を両立しています。
一般的な画像認識だけでなく、数学や科学の高度な推論や、PC・スマートフォンの画面要素を正確に認識して操作する用途に特化して設計されています。
何ができるのか
画像のキャプション生成やレシートの読み取り、複数画像にわたる変化の追跡といった日常的なタスクを難なくこなします。しかし、真骨頂は複雑な数式や図表の読解、そして画面UIの要素認識です。
MathVista、MMMU、ChartQA、ScreenSpot-v2などの主要ベンチマークにおいて約75%の精度を記録しており、同等の速度を持つモデルを上回る結果を示しています。
特筆すべきはその圧倒的な計算効率です。Qwen 2.5 VL、Qwen 3 VL、Kimi-VL、Gemma3といった競合モデルが1兆トークン以上のデータで訓練されているのに対し、本モデルはわずか2000億トークンのマルチモーダルデータで学習されました。競合と比べておよそ10分の1の計算コストで同等クラスの性能を引き出しています。
10分の1の計算コストで実現した仕組み
アーキテクチャには画像とテキストを中間層で統合するmid-fusionを採用しました。バックボーンには言語モデルPhi-4-Reasoningを用い、視覚エンコーダには動的解像度に対応したSigLIP-2 Naflexを組み合わせています。
高解像度のスクリーンショットから小さなボタンや文字を認識する課題に対し、マイクロソフトは事前実験を実施しました。その結果、最大3600トークン(約720p相当)を扱える動的解像度方式が、ScreenSpot-Proなどの高難度画面テストで最も高い認識精度を発揮することが確認されました。
学習データも徹底的に精査されています。既存のオープンソースデータを人の目で選別した上で、GPT-4oやo4-miniを使って誤った回答や説明文を再生成して品質を高めました。さらにarXivの論文から抽出したLaTeX数式のOCRデータなども追加されています。
重みはすでにHugging Face、GitHub、Microsoft Foundryで公開されており、誰でもダウンロードして利用可能です。15Bという規模のため、大規模なクラスタを用意しなくても一般的なワークステーションなどで検証できます。
なぜ重要か
デスクトップ自動化エージェントや画面操作AI、あるいは図表混じりの学術文書解析を開発しているエンジニアにとって、今すぐ試す価値がある選択肢です。軽量でありながら画面認識と論理的推論に強いため、実運用でのレスポンスと精度の両立が期待できます。
マイクロソフトのアプローチは、モデルの大規模化とデータ量の力押しに頼りがちだった開発競争に一石を投じるものです。適切なエンコーダ選定と徹底したデータ選別を行えば、わずか10分の1のリソースでも第一線の実用モデルを作れることを明確に示しました。
情報源 (1)
- microsoft.com(新しいタブで開きます)原文microsoft.com