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マイクロソフト、研究開発向けエージェント基盤「Microsoft Discovery」発表

公開 拡散指数 49

マイクロソフトはBuild 2025にて企業研究開発向けエージェントプラットフォーム「Microsoft Discovery」を発表した。グラフベースの推論エンジンと専門AIエージェント群をCopilotが統合制御し、仮説立案からHPCシミュレーションまでを支援する。自社研究ではデータセンター向け新冷却液を約200時間で発見した。

マイクロソフト、研究開発向けエージェント基盤「Microsoft Discovery」発表
画像:azure.microsoft.com

研究開発の現場では、膨大な論文の調査やシミュレーションソフトの操作に数カ月から数年が費やされるのが常でした。

マイクロソフトは開発者会議「Microsoft Build 2025」において、研究開発(R&D)の加速を狙うエンタープライズ向けのエージェント型AIプラットフォーム「Microsoft Discovery」を発表しました。研究者が専門分野ごとに特化したAIエージェントのチームを編成し、仮説立案からシミュレーションまでを対話形式で進められる仕組みです。

専門エージェントを束ねるナレッジグラフ基盤

従来の大規模言語モデルは、矛盾する実験結果や学際的な前提が絡み合う高度な科学データの推論を苦手としていました。Microsoft Discovery はこの課題に対し、社内データや学術論文の相関関係を可視化するグラフ型ナレッジエンジンを採用しています。すべての推論ステップで情報源の追跡が可能で、専門家が根拠を検証しやすい設計です。

この基盤の上で動くのが、自然言語で役割を定義できる特化型エージェントです。たとえば「分子物性シミュレーション専門」や「文献調査専門」といったエージェントを自由に組み合わせることができます。全体の進行役は Microsoft Copilot が担い、研究者の指示に応じて適切なエージェントやシミュレーションツールを呼び出します。

また、エヌビディアとの連携も組み込まれています。化学シミュレーションを最適化する「NVIDIA ALCHEMI NIM」や創薬向けの「NVIDIA BioNeMo NIM」が統合されるほか、インフラには最大35倍の推論スループットを謳う Azure の Blackwell 搭載仮想マシン(ND GB200 v6)が活用されます。

冷却液候補を約200時間で発見

実証例としてマイクロソフトは、自社のデータセンター向け浸没冷却液の開発事例を挙げました。従来の手法なら数カ月から数年かかっていた非PFAS系冷却液のプロトタイプ探索を、Microsoft Discovery を用いて約200時間で完了させたとしています。

外部機関での導入も進んでいます。米パシフィック・ノースウェスト国立研究所(PNNL)では、核分裂後の放射性元素を分離する化学プロセスの最適化に本プラットフォームを活用しており、研究者が危険な放射線環境に身を置く時間を減らす取り組みを進めています。

なぜ重要か

私たちは、マイクロソフトが万能モデルをひとつ提示するのではなく、既存の計算ツールやHPCと研究者をつなぐ「オーケストレーション基盤」に徹した点を高く評価しています。

材料開発やバイオの現場では、実験のプロであっても高度な並列計算やスクリプト作成に不慣れなケースが少なくありません。自然言語でエージェントを介して高性能計算(HPC)を動かせるようになれば、計算科学の専門家を抱えられないチームでもシミュレーション主導のR&Dに参入しやすくなります。

もっとも、物理科学の領域ではわずかな推論ミスが莫大な実験コストの浪費につながります。追跡機能があるとはいえ、エージェントが文献の文脈を取り違えるリスクを完全に排除できるわけではなく、最終的な判断を下す研究者の目利きは依然として不可欠です。

それでも、従来なら年単位を要していた候補物質の絞り込みを1〜2週間の計算に短縮できる価値は絶大です。素材や製薬、エネルギー分野の研究機関にとって、今すぐ検証を始める価値のあるプラットフォームと言えます。

情報源 (2)

  1. [1]
    azure.microsoft.com(新しいタブで開きます)原文azure.microsoft.com
  2. [2]
    blogs.nvidia.com(新しいタブで開きます)報道blogs.nvidia.com

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