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業界動向

マイクロソフト、出版大手ハーパーコリンズと提携し書籍をAI学習に活用へ

公開 拡散指数 64

ブルームバーグ報道によると、マイクロソフトは出版大手ハーパーコリンズと提携し、一部の実用書などを新AIモデルの学習に利用することで合意した。著者は参加を任意で選択でき、1冊あたり3年間で2500ドルの条件が提示されているが、作家側からは反発の声も上がっている。

マイクロソフト、出版大手ハーパーコリンズと提携し書籍をAI学習に活用へ
画像:bloomberg.com

数年かけて執筆した専門書をAIの学習データとして提供する見返りが、たったの2,500ドルだとしたら、あなたならどうするでしょうか。

大手出版社のハーパーコリンズ(HarperCollins)が、自社のノンフィクション書籍をAIモデルのトレーニング用に提供するライセンス契約をテック企業と結んだことが明らかになりました。404 Mediaの初期報道に続き、Bloombergがその提携先がマイクロソフトであることを報じています。

対象となるのは過去に出版された一部のノンフィクション既刊本です。マイクロソフトが現在開発を進めている未発表のAIモデルの品質向上に利用される予定とされています。

3年で2,500ドルの提示に作家は反発

契約は強制ではなく、著者が自らの意思で参加を決めるオプトイン方式が採られています。

作家のダニエル・キブルスミス氏が公開した案内メールのスクリーンショットによると、条件は1作品あたり3年間で2,500ドル(約38万円)でした。契約内容には、著者のクレジット表示や、AIが出力する際のテキスト完全一致の引用制限といった保護策が含まれているとされています。

キブルスミス氏はこの提案を忌まわしいと切り捨て、即座に拒否しました。同氏は地元の書店で現役作家の実体本を買うべきだと呼びかけています。

いくらなら応じるかと問われた同氏は、10億ドルなら考えると答えました。仕事を辞めて暮らせる額でなければ割に合わない、なぜならこの技術の最終目標は人間の仕事を不要にすることだからだ、と皮肉を込めて述べています。

Bloombergが取材した関係者によると、マイクロソフトはこの素材を使ってAIによる書籍生成を行う意図はないとしています。なお、マイクロソフト側はコメントを控えています。

法廷闘争からデータ囲い込みへ

ハーパーコリンズの親会社であるニューズ・コープは、すでに今年5月、OpenAIとの間で大規模なコンテンツ提供契約を結んでいます。ウォール・ストリート・ジャーナルなどの記事がChatGPTの学習や回答表示に活用されています。

ニューヨーク・タイムズがマイクロソフトやOpenAIを著作権侵害で訴訟している一方で、Vox Mediaやアトランティックなど、大手メディアが相次いでテック企業と和解や契約を結ぶ動きが広がっています。

ハーパーコリンズ側は、著者に新たなビジネスモデルの選択肢を提示しつつ、作品の根本的な価値と印税の流れを守るための措置だと説明しています。

なぜ重要か

マイクロソフトのアプローチは法的なリスク回避としては極めて巧妙ですが、クリエイターへの対価の面では大きな課題を残していると私たちは考えます。

AI開発各社にとって、公開ウェブ上の高品質なテキストデータは枯渇しつつあります。プロの編集と校閲を経たノンフィクション書籍は、推論能力や事実の正確性を底上げするための貴重な資源です。大手出版社を通じ、著者個人のオプトイン同意を取り付けるやり方は、著作権侵害の追及を未然に防ぐクリーンな調達スキームと言えます。

しかし、3年で2,500ドルという金額は、専門書を一冊書き上げる労力に見合っているとは言えません。長年売れ行きが落ち着いている既刊本の著者にとっては目先の小遣い稼ぎになるかもしれませんが、自らの知的資産をモデルの性能向上に切り売りすることへの懸念は根強く残ります。

今後は他の大手出版社も追随し、オプトイン型のライセンスが業界標準になっていく可能性が高いと見られます。クリエイター側は、技術の進歩を拒否して孤立するか、わずかな対価を受け入れてモデルの一部になるかという、厳しい選択を突きつけられています。

情報源 (4)

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    bloomberg.com(新しいタブで開きます)原文bloomberg.com
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