Meta、WhatsAppやFacebookにAI詐欺対策ツールを導入
Metaは、WhatsApp、Facebook、MessengerにAIを活用した詐欺対策ツールを導入しました。WhatsAppでは不審なデバイス連携リクエストに警告を表示し、Facebookでは怪しい友達リクエストの検知をテストしています。著名人やブランドのなりすまし対策にもAIを活用します。

オンライン詐欺の多くは、高度なハッキング技術ではなく、ユーザーが一瞬油断した隙に認証コードを聞き出したり、何気なく送られた友達申請を承認させたりすることで発生しています。
Metaは3月11日、WhatsApp、Facebook、Messengerを横断する新しいAI詐欺対策機能を発表しました。アカウントの乗っ取りや偽アカウントからの接触に対して、システムが先回りして警告を出す仕組みです。
不審な操作にブレーキをかける新機能
WhatsAppで多発しているのが、電話番号や認証コードを聞き出されたり、偽のQRコードをスキャンさせられたりして、詐欺師の端末にアカウントを連携されてしまう手口です。
今回導入された警告機能では、不審な行動シグナルを検知した際、連携リクエストがどこから届いているかを表示し、詐欺の可能性を伝えて承認を踏みとどまらせます。
Facebookでは、怪しい友達申請に対する警告テストが始まりました。共通の友達がほとんどいない場合や、プロフィールの所在地に不自然な点がある場合、ブロックや拒否を促す注意メッセージが表示されます。
Messengerの詐欺検知機能も提供地域が拡大されます。新しい連絡先から怪しい求人案内などの定型文が送られてきた場合、AIによる詐欺判定のために最近のチャット内容を共有するかどうかをユーザーに尋ね、危険と判定されれば通報やブロックを案内します。
さらに著名人を装った広告や偽ブランドの対策として、テキスト、画像、文脈を同時に解析するマルチモーダルAIを導入し、巧妙ななりすましや偽サイトへの誘導リンクを自動検知します。
認証広告主の売上比率を90%へ
Metaは利用者向けのツールだけでなく、自身の収益基盤である広告事業にも厳しいルールを設けます。
現在約70%となっている認証済み広告主による広告売上比率を、2026年末までに90%へ引き上げる計画を発表しました。リスクの高い業種には本人確認を義務付け、残りの10%は近所の個人商店など低リスクな事業者に限られます。
あわせて公開された取り締まり実績も公表されました。2025年の1年間で、Metaは1億5900万件以上の詐欺広告を削除し、そのうち92%はユーザーからの通報を受ける前にシステムが先手で排除したといいます。
また、詐欺グループに関連するFacebookとInstagramのアカウントを年間で1090万件停止しました。直近では各国の捜査機関と連携し、東南アジアの詐欺拠点が運営していた15万件以上のアカウントを一斉凍結しました。これらは警察官を装う偽の「デジタル逮捕」電話や、暗号資産の投資詐欺に使われていたものです。
なぜ重要か
一般ユーザーにとって、詐欺被害を防ぐ一番の鍵は「怪しいと思った瞬間に立ち止まるきっかけがあるかどうか」です。
WhatsAppの端末連携リクエストで相手の所在地が表示されたり、不審な友達申請にアラートが出たりすることで、慌てて承認してしまうリスクを大幅に減らせます。ただ、MessengerでAIにチャットを解析させる仕組みは、ユーザーの同意制とはいえプライバシー意識の高い層には心理的ハードルが残るかもしれません。
業界全体で見れば、広告売上の90%を認証済みにするという目標を掲げた点は注目に値します。グレーな広告主を締め出すことは短期的には広告収入の抑制につながりかねませんが、詐欺広告を野放しにして規制当局から受ける制裁や信頼失墜のコストを考えれば、極めて合理的な判断といえます。
詐欺の手口が組織化・産業化し、ディープフェイクや自動化ツールが使われる現代において、事後対応の通報システムはすでに限界を迎えています。プラットフォーム側がAIを使ってあらゆる接点で先回りの検知を行うことは、もはや避けられない防衛策といえます。
情報源 (1)
- about.fb.com(新しいタブで開きます)原文about.fb.com