Meta、推論モデル「Muse Spark 1.1」を発表:100万トークン対応
Metaはエージェント作業とコンピューター操作に特化した推論モデル「Muse Spark 1.1」を発表した。100万トークンの文脈に対応し、複数エージェントの並列処理や新規ツールのゼロショット利用を支援する。Meta AIの思考モードや新設のMeta Model API公開プレビューで利用可能だ。

AIエージェントにパソコンの画面を操作させると、ボタンを1つクリックするたびに止まって考え込み、もどかしい思いをした人は多いはずです。
MetaのSuperintelligence Labsは7月9日、マルチモーダル推論モデル「Muse Spark 1.1」を発表しました。4月に登場した初期バージョンから大幅に刷新され、自律的なエージェントタスク、コーディング、PC画面の直接操作(Computer Use)に最適化されています。
あわせて開発者向けに「Meta Model API」のパブリックプレビューが開始されたほか、一般ユーザーもmeta.aiおよびMeta AIアプリの「Thinkingモード」ですぐに試せるようになっています。CEOのマーク・ザッカーバーグ氏が、Xへの投稿としては約3年ぶりとなる発信を行い自らアピールしたことでも注目を集めています。
スクリプト自動生成とGUI操作を使い分ける
Muse Spark 1.1の最大の特徴は、PC操作における現実的な割り切りです。
画面の要素を1つずつ順番にクリックしていくのではなく、処理速度が速ければ裏で自動化スクリプトを実行し、直接触るほうが早ければ画面をクリックするという判断を自ら下します。操作も1ステップずつではなく、一括して複数アクションを実行可能です。
デモでは、スマートフォンで撮影した動画を読み込ませるだけで、AIが商品写真と仕様を抜き出し、ブラウザを自律操作してFacebook Marketplaceへの出品手続きを代行する様子が披露されました。
また、プロジェクト全体を取りまとめるメインエージェントとして動き、複数のサブエージェントに並列で仕事を割り振る協調動作にも対応しています。100万トークンの巨大なコンテキストウィンドウを備え、古い作業内容を適宜要約しながら必要な手順を記憶し続けます。
MCP(Model Context Protocol)サーバーや外部ツールへの接続もゼロショットでこなします。OpenCode環境でのデモでは、Webアプリを作成したあと、自らスクリーンショットを撮影して表示崩れを発見し、該当コードを特定して修正まで完了させました。
ロイターの報道によると、APIの利用料は入力100万トークンあたり1.25ドル、出力100万トークンあたり4.25ドルに設定されています。これはAnthropicのClaude Haiku 4.5やOpenAIのGPT-5.6 Lunaと真っ向からぶつかる価格帯です。
なぜ重要か
私たちは、Metaが自律型エージェントの基盤レイヤーを本格的に取りに来たと見ています。
個人開発者やスタートアップにとっての恩恵は明快です。画面認識、外部ツール呼び出し、サブエージェントの並列制御といった複雑な仕組みを自作することなく、手頃なAPI価格で100万トークンの推論モデルを組み込めるようになりました。まずは小規模な社内ツールやテストコードのデバッグ作業などで、今すぐ試す価値が十分にあります。
業界全体にとっても、OpenAIやAnthropicが先行していた「コーディング特化」や「PC操作」の領域にMetaが低価格路線で割り込んできたインパクトは小さくありません。
ただし、課題もあります。モデルが状況に応じてバックグラウンドでスクリプトを実行する仕様は、業務環境において予期せぬ挙動やセキュリティ上の抜け穴を生むリスクと背中合わせです。安全基準をクリアしていると説明されているとはいえ、本番環境の基幹システムに導入するには、人間による監視設計が不可欠だと考えられます。
情報源 (2)
- ai.meta.com(新しいタブで開きます)原文ai.meta.com
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com