MetaがHugging FaceやScalewayと連携、仏STATION FでオープンソースAI育成へ
MetaはHugging FaceおよびScalewayと提携し、オープンソースAIスタートアップ育成プログラムを発表した。パリのSTATION Fを拠点に5社を支援し、FAIR研究者による技術指導や計算資源、開発ツールを提供する。

AIスタートアップを立ち上げようとするとき、最大の壁になるのは常に計算資源のコストと最先端の研究ノウハウです。
Metaは11月8日、オープンソースAIプラットフォームのHugging Face、そして欧州のクラウド大手Scalewayと組み、「AI Startup Program」を立ち上げると発表しました。拠点はパリにある世界最大級のスタートアップキャンバス「STATION F」で、HECインキュベーターの支援を受けて運営されます。
5社限定、FAIRの研究者とクラウド計算力を直供
このプログラムは非常に絞り込まれており、採択されるのはわずか5社のみです。支援期間は2024年1月から6月までの半年間となっています。
選考基準は、オープンな基底モデルを活用していること、またはそれらのモデルを自社のプロダクトやサービスに組み込む明確な意欲を示していることです。応募締め切りは2023年12月1日に設定されています。
支援内容はスタートアップにとって極めて実用的です。Metaのパリ拠点の研究所であるFAIR(基礎AI研究ラボ)の研究者やエンジニア、博士課程の学生から直接技術メンターシップを受けられるほか、Hugging Faceのツール群、そしてScalewayのAIインフラ計算資源が提供されます。
対象はLlama 2のような大規模言語モデルにとどまりません。Metaが公開している画像処理モデル「DINOv2」や音声生成モデル「AudioCraft」などの活用も想定されています。
Metaの南欧担当バイスプレジデントであるLaurent Solly氏は、同社がこれまで1000以上のオープンソースモデルやツールを公開してきた実績を強調しました。また、Hugging FaceのCEOであるClément Delangue氏は、オープンソースAIこそがこの10年で最も重要なテーマであり、倫理的なAIを民主化する基盤だと述べています。
なぜ重要か
スタートアップにとって、最大のリスクである計算資源の調達コストと先端技術の実装ハードルを同時にクリアできる点は大きな価値があります。特にヨーロッパで急成長を目指す初期チームにとって、FAIRの研究者から直接アドバイスを受けつつScalewayのインフラを無償利用できる環境は、シード期の資金調達数百万ユーロ分に相当するアドバンテージになり得ます。
一方で、Meta側の戦略も非常に明快です。OpenAIやGoogleが推し進めるプロプライエタリな囲い込み戦略に対抗するため、Metaはオープンエコシステムの覇権を握ろうとしています。Hugging Faceという開発者コミュニティの中心地と、欧州独自のクラウド基盤であるScalewayを巻き込むことで、ヨーロッパの次世代テック企業を根底から自社モデル陣営に取り込む狙いが見えます。
オープンソースモデルで事業を成立させられるかを証明する実験場としても、このアライアンスの動向は業界全体から注目されるはずです。
情報源 (1)
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