オープンソースAI記憶システムMemPalace:LongMemEvalで初の満点を獲得
Ben Sigman氏と俳優のミラ・ジョヴォヴィッチ氏がAI記憶システム「MemPalace」をオープンソース公開した。ローカルで「記憶の宮殿」構造を用いて会話を整理し、LongMemEvalベンチマークで全問正解の満点を達成。AAAK圧縮により文脈を約120トークンに圧縮し、クラウド不要で動作する。

MemPalaceは、クラウドを介さずローカル環境だけで動作するオープンソースのAI長期記憶システムです。家族構成や進行中の仕事、個人の好みをLLMに永続的に記憶させることができます。
開発にはAnthropicのClaudeが用いられ、Ben Sigman氏と俳優のミラ・ジョヴォヴィッチ氏が数か月をかけて構築しました。外部APIキーや月額サブスクリプション契約は一切不要です。
何ができるのか
従来のAIメモリ機能は、会話履歴をクラウド上のエージェントに送信したり、単純な事実リストとしてフラットに蓄積したりする手法が一般的でした。MemPalaceは古典的な記憶術に着想を得て、翼棟や大広間、個室という階層的な構造で記憶を整理します。
この構造により、ユーザーが最初の文字を入力する前に、家族や仕事の文脈がわずか約120トークンでLLMに読み込まれます。
また、独自のAAAK圧縮技術によって、生活全体の文脈を劣化なしで30倍に圧縮し、あらゆるLLMがそのまま読み取れる形式で保持します。
さらに矛盾検出機能も備えており、誤った名前や代名詞、年齢などを事前に察知して修正します。数か月にわたる過去ログからのセマンティック検索でも、上位1番目または2番目の候補で正解を見つけ出します。
ベンチマークと導入方法
客観的な性能評価において、MemPalaceは既存の記憶システムを大きく上回る数値を記録しました。
標準的な評価ベンチマークであるLongMemEvalでは、全500問中500問正解の回収率100%を記録し、このテストで史上初となる満点を達成しました。
会話メモリを評価するConvoMemでは92.9%を記録し、競合するMem0の2倍以上のスコアを示しました。時間の推移を含むマルチホップ推論を試すLoCoMoでも100%を獲得しています。
導入に必要な依存関係は1つだけで、完全にお手元のマシン上で完結します。MITライセンスのもと100%オープンソースとしてGitHubで公開されています。
なぜ重要か
プライバシーを守りながら、AIとの対話のたびに自己紹介を繰り返す手間を省きたい人にとって、MemPalaceは真っ先に試す価値のあるツールです。わずか約120トークンという低コストで文脈を注入できる効率性は見事です。
クラウド依存の重厚なベクトルデータベースに頼らず、ローカルでの構造化でここまでの精度を出せることを示した意義は大きいと言えます。ただし、長期間にわたって複雑で曖昧な日常会話が蓄積された際に、AAAK圧縮と宮殿構造がどこまで破綻せずに機能し続けられるかは、今後の検証が必要です。
情報源 (1)
- @bensig(新しいタブで開きます)原文x.com