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業界動向

Mayo Clinic、Microsoft ResearchおよびCerebrasと医療向け基盤モデル開発で提携

公開 拡散指数 31

Mayo Clinicは、Microsoft ResearchおよびCerebras Systemsとそれぞれ提携し、医療特化型基盤モデルを開発すると発表した。胸部X線から読影レポートを自動生成するマルチモーダルAIや、ゲノムデータを解析して関節リウマチ等の個別化治療を支援するモデルを構築し、診断の迅速化と精度向上を目指す。

病院で検査を受けた後、読影レポートを何日も待たされたり、難病の治療薬が効くかどうかを何カ月も手探りで試されたりした経験はないだろうか。

名門医療機関のメイヨー・クリニック(Mayo Clinic)が、その両方のボトルネックを一気に解消すべく動き出した。同院は第43回J.P.モルガン・ヘルスケア・カンファレンスにおいて、マイクロソフト・リサーチ(Microsoft Research)およびAI半導体企業のセレブラス・システムズ(Cerebras Systems)とそれぞれ提携し、医療特化型ファウンデーションモデル(基盤モデル)の共同開発に着手したと発表した。

胸部X線のレポート作成とカテーテル位置確認を自動化

マイクロソフト・リサーチとの共同プロジェクトでは、画像とテキストを統合したマルチモーダル基盤モデルを開発している。対象となるのは放射線科で最も頻繁に扱われる胸部X線検査だ。

メイヨー・クリニックが提供するX線データやCT、MRIといったマルチモーダル画像と、マイクロソフトの医療AI技術を融合。医師の負担軽減を目的とした実証モデルでは、読影レポートの自動生成、X線画像内における各種チューブやカテーテル挿入位置の評価、過去画像との経時的変化の検出などをこなす。

メイヨー・クリニック放射線科チェア兼生成AI戦略ディレクターのマシュー・カルストロム医師は、マルチモーダル基盤モデルによって放射線科エコシステムの課題を解消し、医師が必要な知見へ即座にアクセスできるようになると説明する。

遺伝子データから「効く薬」をリアルタイム予測

一方、セレブラスとの取り組みでは、ゲノム領域に特化した基盤モデルを構築した。

このモデルは、公開されている標準ヒトゲノム参照データと、メイヨー・クリニック・プラットフォームに蓄積された患者のエクソームデータを組み合わせて学習させている。エクソームは疾患を引き起こす変異の多くが集中するタンパク質コード領域を指す。セレブラスが誇る大規模計算リソースを活用することで、膨大かつ複雑なゲノムデータの高速学習を実現した。

期待される応用先の一つが関節リウマチ(RA)などの自己免疫疾患だ。従来の治療では、どの薬が効くかを確かめるために数カ月間の投薬と経過観察を繰り返すのが一般的だった。このゲノム基盤モデルを使えば、患者の遺伝子情報を類似症例とほぼリアルタイムで照合し、最適な標的治療薬と治療反応を早期に予測できるという。

なぜ重要か

汎用の生成AIがどれだけ賢くなっても、臨床の現場では幻覚(ハルシネーション)のリスクや専門データの壁が立ちはだかる。メイヨー・クリニックのアプローチが巧みなのは、画像診断の定型業務軽減と、ゲノムによる個別化医療という、臨床的価値が最も高い2つの現場課題に的を絞った点だ。

特にセレブラスの計算インフラを採用した点は興味深い。遺伝子配列はテキスト以上にコンテキストが長く、膨大なメモリ帯域を必要とするため、エヌビディア一強のAIインフラ領域においてセレブラスのような独自アーキテクチャが強みを発揮できる好例と言える。

ただし、課題も残されている。胸部X線でのチューブ位置確認などは医療事故に直結しかねない領域であり、モデルのエラーに対する責任所在が曖昧だ。また、メイヨー・クリニックの患者データで学習したゲノムモデルが、異なる人種や環境の患者に対しても同等の予測精度を維持できるかどうかは、今後の広範な臨床検証を見極める必要がある。

情報源 (1)

  1. [1]
    newsnetwork.mayoclinic.org(新しいタブで開きます)原文newsnetwork.mayoclinic.org

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