本文へスキップ
IFAI

AIツール

配信サービス「Max」、動画プレビューに独自AI導入へ:名場面を自動抽出

公開 拡散指数 44

ワーナー傘下のMaxは今週、米国のコネクテッドTV向けに動的動画プレビューを導入した。今後数週間で自社製AIツールも順次展開し、膨大な作品群から見どころとなる「Drop-In Moments」を自動検出して提案させ、手作業による切り抜き・選定時間を大幅に削減する。

配信サービス「Max」、動画プレビューに独自AI導入へ:名場面を自動抽出
画像:press.wbd.com

動画配信サービスを開いたものの、ずらりと並ぶサムネイルを何十分も眺めただけで結局何も観ずに画面を閉じてしまった経験は誰にでもあるはずです。

ワーナー・ブラザース・ディスカバリー傘下のMaxが、まさにこの悩みを解消するためのアップデートを発表しました。今週より米国向けのコネクテッドTV端末を対象に、ホーム画面で作品アイコンにカーソルを合わせると、画面上部でプレビュー映像が自動再生される機能の提供が始まっています。

自動再生が煩わしいと感じるユーザーへの配慮もなされており、設定や再生メニューから映像と音声の自動再生をそれぞれオフにすることが可能です。この機能は米国の全サブスクリプションプランの成人プロフィールで利用できます。Maxのチーフ・プロダクト・オフィサーであるTyler Whitworth氏は、短い映像プレビューによって作品の雰囲気が掴みやすくなり、納得感を持って観る作品を決められるようになると述べています。

埋もれた名シーンを社内AIツールで発掘する

ホーム画面での自動プレビュー自体はNetflixなどでもおなじみですが、今回のMaxの取り組みで興味深いのは、その映像クリップの選び方です。

膨大なライブラリから作品ごとの魅力的なシーンを手作業で探し出し、短尺クリップに編集するのは途方もない時間とコストがかかります。そこでMaxは、数週間以内に社内開発のAI支援ツールを段階的に導入することを明らかにしました。このAIがカタログ全体を分析し、作品の代表的で認知度の高い場面である「ドロップイン・モーメント(Drop-In Moments)」を自動で検出して推薦します。

WBDのチーフ・テクノロジー・オフィサーを務めるAvi Saxena氏によれば、この技術によってプレビュー作成にかかる手作業の時間を大幅に削減できるとのことです。ただし全てをAI任せにするのではなく、AIが提案した候補の中から、Maxの編集チームがホーム画面に採用するシーンを最終決定する仕組みをとっています。

The Vergeの報道によると、Maxは1月にもメニューバーを画面左側に移動するUI変更を行っており、さらに今年の夏にはサービス名を再び「HBO Max」へと戻す大規模なリブランディングも控えています。

なぜ重要か

今回の施策は、派手な生成AIの話題に隠れがちな「AIによる動画配信の業務効率化」として非常に手堅く、理にかなったアプローチだと私たちは考えています。

ユーザーにとっての価値は、作品選びの失敗が減ることです。宣伝用のポスター画像だけでは実際のテンポ感や作風は分かりませんが、本編の象徴的なワンシーンを数秒観るだけで、観るべきかどうかの判断がぐっと簡単になります。音声や動画の自動再生をオフにできる逃げ道を最初から用意している点も、利用者の反発を避ける上で賢明です。

業界全体にとっても、過去の膨大なアーカイブ資産をどう再活性化するかという課題に対する明確な回答になっています。何千タイトルもの旧作を人間がチェックしてクリップを切り出すのは採算が合いませんが、AIに粗探しを任せればコストを抑えてライブラリの魅力を引き出せます。

何より賢いのは、シーンの選別をAIの完全自動化にせず、最後の判断に人間のエディターを残した点です。ネタバレや不適切なシーンが誤って配信されるリスクを防ぎつつ、AIに地道な作業を担当させるこの「人間協調型」の設計は、他社の動画プラットフォームにとっても現実的な手本になると言えます。

情報源 (2)

  1. [1]
    press.wbd.com(新しいタブで開きます)原文press.wbd.com
  2. [2]

毎日のAIピックアップ