Manus、新機能「Wide Research」発表:汎用エージェントの並列処理で大規模調査を高速化
7月31日、Manusは大規模タスクを並列処理する新機能「Wide Research」を発表した。固定的な役割分担を行わず、複数の完全なManusインスタンスが連携して数百件規模の調査をこなす。現在はProユーザー向けに先行提供され、順次下位プランにも拡大予定だ。

AIエージェントにフォーチュン500全社の事業内容を調べさせたり、全米の主要MBAプログラムを比較させたりしたことがある人なら、その限界をよく知っているはずです。単一のエージェントがウェブサイトを1つずつ巡回するやり方では、途中で文脈を見失うか、長時間の処理でタイムアウトするのが関の山でした。
自律型AIエージェントを手がけるManusは7月31日、大量の調査タスクを高速に並列処理する新機能「Wide Research」を発表しました。ユーザー1人あたりに割り当てる計算資源を最大100倍にスケールさせ、大規模な情報収集をこなす仕組みです。
事前定義の役割を排した並列インスタンス
Manusは単なるAIチャットではなく、ユーザーごとにクラウド上の仮想マシンを割り当てるパーソナルクラウド基盤として設計されています。仮想環境の中でコードを実行し、ブラウザを操作できる点が特徴です。
今回発表されたWide Researchは、この仮想化インフラを土台にした並列処理システムです。従来のエージェント協調システムでは、マネージャーやプログラマーといった役割をあらかじめ定義することが一般的でした。しかしWide Researchでは、生成されるすべてのサブエージェントが、完全な機能を備えた汎用Manusインスタンスとして動作します。
数百件におよぶ企業リストの調査や生成AIツールの網羅的な比較など、大規模なタスクが投げられると、複数のインスタンスが同時に立ち上がり、各自のサンドボックス環境でコード実行や情報収集を並行して進めます。
本機能はまずProプランのユーザー向けに提供が開始され、その後PlusおよびBasicプランにも順次展開される予定です。
なぜ重要か
単一モデルのコンテキスト長や推論能力の向上だけに頼るのではなく、システムエンジニアリングと並列コンピューティングで大容量タスクを突破しようとした点は、非常に現実的で賢いアプローチだと評価できます。
市場調査員やアナリスト、事業開発の担当者にとって、数百社分のデータを手作業や単一チャットボットで集める作業は膨大な時間を消費する苦行でした。Wide Researchを使えば、プロンプトひとつでクラスタ全体を動かして網羅的なレポートを作れるため、調査業務の多いユーザーならProプランで試す価値が十分にあります。
一方で、課題となるのはコストとインフラの負荷です。完全な仮想マシンと汎用エージェントを大量に同時稼働させるアーキテクチャは、莫大なコンピュートリソースとAPIコストを消費します。Proプランに提供が限定されているのもその裏返しであり、今後下位プランに展開した際に十分なパフォーマンスを維持できるかは不透明です。
とはいえ、AIエージェントの競争軸が「単一モデルの賢さ」から「分散仮想マシンを束ねるオーケストレーション能力」へと移行しつつあることを示す、興味深いマイルストーンと言えます。
情報源 (2)
- manus.im(新しいタブで開きます)原文manus.im
- venturebeat.com(新しいタブで開きます)報道venturebeat.com