中国発自律型エージェント「Manus」が話題沸騰、実測では不具合も続出
先週プレビュー公開された中国発の自律型AIエージェント「Manus」が大きな注目を集め、招待コードが高額転売される事態となっている。GAIAベンチマークでOpenAI超えを謳い、ClaudeやQwenを組み合わせて動作するが、実利用では予約や発注タスクで無限ループやエラーが多発している。

ノートパソコンを閉じて寝ている間に、AIがクラウド上で自律的に調査を終え、ウェブサイトまで公開してくれる。そんな触れ込みで先週突如として脚光を浴びたのが、中国発の自律型AIエージェント「Manus」です。
公式Discordサーバーには数日で13万人以上が殺到し、フリマアプリでは招待コードが日本円にして数十万円相当で転売される過熱ぶりを見せました。SNS上では「DeepSeekに続く中国AIの衝撃」と騒がれましたが、初期テスターの手に渡った途端、その実力に対する疑問符が相次いでいます。
派手なデモと厳しい現実
Manusを開発したのは中国のスタートアップ(Butterfly EffectまたはMonica.imと報じられています)。チーフサイエンティストの季逸超氏が公開した動画では、GAIAベンチマークでOpenAIのDeep Researchを上回るとアピールされ、単なるチャットボットではなく「思考と実行の溝を埋める完全自律エージェント」と位置づけられました。
最大の特徴は、非同期のクラウド実行です。ユーザーが指示を出せばPCを閉じても裏で複数のサブエージェントがブラウジングやデータ分析、Pythonコードの実行をこなします。
しかし、実際の使い勝手はデモ通りとはいきませんでした。
米TechCrunchの記者がファストフードの注文を依頼したところ、10分後にクラッシュ。再度試すも決済まで完了できず、成田行きの航空券検索ではリンク切れのページを提示される始末でした。格闘ゲームの制作を命じても、30分後にエラーで停止したと報告されています。
また、ある研究者がOpenAIのDeep ResearchとManusに同じ調査タスクを与えたところ、Deep Researchが15分以内で完了したのに対し、Manusは50分間格闘した末に全20ステップ中18ステップ目で失敗しました。エラーのループに陥りやすい点や、ネット上で容易に見つかる事実を誤認する例も指摘されています。
同社広報はTechCrunchに対し、現在は少人数チームで負荷テストを行い課題を洗い出している段階だと釈明しました。
DeepSeekとの決定的な違い
今回の騒動の背景には、限定招待による飢餓感と、過剰なインフルエンサーの煽りがありました。複数スマホアプリを操作する偽のデモ動画が拡散される事態も起きています。
決定的なのは、独自の基盤モデルをゼロから開発したDeepSeekとは異なり、ManusはAnthropicのClaudeやアリババのQwenなど既存モデルを微調し、ワークフローで束ねたマルチエージェント構造だという点です。モデルそのもののブレークスルーというよりは、高度なエンジニアリングによる統合システムと言えます。
なぜ重要か
私たちは、現時点で高額な招待コードを買ってまで試す価値はないと考えます。現状のManusは、実務に耐えうる完成度にはほど遠く、エラーが頻発する実験的なベータ版にすぎません。
ただし、Manusが示した製品の方向性自体は極めて的確です。チャット画面に張り付くのではなく、クラウド上のサンドボックスに仕事を丸投げし、非同期で結果を受け取るという設計は、今後のAIエージェントが目指すべき必然の姿だからです。
問題は信頼性とレイテンシの壁です。他社製モデルを何重にも連携させて長時間のタスクを実行させると、途中の小さなエラーが致命的な破綻につながります。実用性を重視するOpenAIのOperatorやAnthropicのComputer Useに対して、Manusのようなオーケストレーション型ツールがどこまで堅牢性を高められるかが今後の試金石になりそうです。
情報源 (5)
- youtube.com(新しいタブで開きます)原文youtube.com
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com
- nextbigfuture.com(新しいタブで開きます)報道nextbigfuture.com
- qz.com(新しいタブで開きます)報道qz.com
- investing.com(新しいタブで開きます)報道investing.com