自然言語から3D CADモデルを自動生成するオープンソース「MAC」
自然言語から編集・印刷可能な3D CADパーツやアセンブリを生成できるオープンソースフレームワーク「MAC」v2が公開された。マルチエージェント協調と検証ループにより、従来手法比でトークン消費を最大116分の1、コストを13分の1に削減。STEP、STL、URDF出力に対応する。
MAC(Multi-Agent CAD)は、自然言語の指示から直接、編集や3Dプリントが可能なCADモデルを自動生成するオープンソースフレームワークです。
単なるレンダリング用のポリゴンメッシュではなく、標準的なSTEP、STL、GLB形式のエンジニアリングデータを出力します。さらに、機構全体を部品ごとに自動分解して個別にモデリングし、組み立ててロボットシミュレーション用のURDF形式で書き出す機能も備えています。
何ができるのか
ヒンジ付きクローや伸縮式カメラクレーン、3軸ガントリー測定台などの要望をテキストで入力するだけで、MACが構造計画から部品生成、結合部の組み立てまでを自動実行します。
単体パーツの設計にも対応しており、ハニカム構造の整理ボックスやジャイロスコープ、ジュネーブ機構、組み立て不要でそのまま印刷できる可動チェーンなどを正確に生成できます。
左右対称の部品や同一パーツの繰り返しは再利用され、無駄な再生成を行いません。生成過程の設計計画、Pythonコード、測定レポート、修復履歴もすべて記録され、後から監査可能です。
仕組みとベンチマーク結果
従来の単一モデルによるCAD生成では、エラー修正のループに陥り膨大なトークンを消費してしまう課題がありました。
MACは設計計画、形状コード作成、自動修復、独立した判定(Judge)などのタスクをマルチエージェントに分散し、制約付きのテスト時計算によって無駄なループを防いでいます。
10種類のプロンプトと141の幾何特徴を検証する単体パーツベンチマークにおいて、Qwen 3.7を用いた従来のCAD Skill再現手法は1億395万トークンと約18.59ドルを消費し、通過率は97.9%でした。
一方、MAC v1はわずか90万トークン、約1.43ドルのコストで99.3%の特徴通過率を記録しました。トークン消費量は116分の1、コストは13分の1に抑えられています。
視覚検証と独立判定員を追加したv2では、Qwen 3.8環境で140万トークン、4.85ドルのコストをかけながら99.3%の通過率を維持しており、同条件のベースライン比でトークンを62.7分の1、コストを6.1分の1に削減しています。
複雑なアセンブリ生成でも、検査ロボットアームで約1ドル、3軸ガントリー機構で約2ドル、パーツ数の多い移動式マニピュレーターでも約13ドルのAPI費用で収まっています。
ローカル環境での動かし方
ソースコードはGitHubのPan-Chera/Multi-Agent-CADリポジトリで公開されています。
モデルに依存しない構造になっており、OpenAI互換のDashScopeエンドポイント(Qwenシリーズ)のほか、OpenRouter経由でDeepSeekなど好みのモデルを割り当てることができます。
動作にはPython 3.11が必要です。CADライブラリのbuild123dと支援ツールのaider-chatの間でNumPyのバージョン依存が競合するため、公式の手順に従ってConda環境を構築するのが推奨されます。
FastAPIベースのWebインターフェースが付属しており、ブラウザ上でプロンプトを入力して3Dプレビューを確認しながら完成データをダウンロードできます。生成されたPythonスクリプトをローカルで実行する仕組みのため、外部ネットワークには直接公開せずローカル環境で使用してください。
なぜ重要か
3Dプリンターを日常的に使っている人や、ロボット工学のシミュレーション用に機構モデルを素早く試作したいエンジニアにとって、MACは今すぐ触ってみる価値のあるツールです。
単一の巨大モデルにすべてを任せるのではなく、役割を分担させて検証ループを小さく回す仕組みが非常に賢く、実用的な通過率を維持しながらAPIコストを桁違いに抑えています。
アセンブリ機能はまだ実験段階であり、実際の製造前には公差や関節設定の手動確認が欠かせませんが、自然言語から実用的なCADデータを起こすツールとして極めて完成度の高いオープンソース実装と言えます。
情報源 (2)
- github.com(新しいタブで開きます)原文github.com
- youtube.com(新しいタブで開きます)報道youtube.com