Luma AI、Adobeと提携し動画生成モデル「Ray3」をFireflyに導入
Luma AIはAdobeと提携し新動画生成モデル「Ray3」をAdobe Fireflyで提供開始した。10秒の高画質動画生成や画面上の落書きによる軌跡指定に対応する。有料プランのユーザーは2週間無制限で利用でき、制作スタジオ向けの個別提供も行う。

映画レベルの映像生成AIを制作現場へ持ち込もうとする動きが、新たな局面を迎えました。
AI動画を手がけるLuma AIは、最新の映像生成モデル「Ray3」をAdobe Firefly向けに提供すると発表しました。有料のFireflyユーザーは本日から2週間のあいだ、Ray3を使った動画生成を無制限で利用できます。その後は従量制などの課金体系へ移行する予定です。映画スタジオや動画配信サービスなどの法人は、クリエイター向けに単体でライセンス契約を結ぶことも可能です。
指示文の「推論」と手描き軌跡による制御
Lumaは2024年初頭に発表した「Dream Machine」以降、短尺動画モデルの改良を重ねてきました。今回のRay3も従来の10秒間・セリフなしという枠組みは維持しつつ、映像のリアルさを大幅に引き上げています。
Luma AIのCEOであるJain氏は、Ray3を「市場で最も賢い動画モデル」と表現しています。ユーザーが何度も指示文を書き直さなくても、モデル自身が課題を自己検証して自律的に修正する推論能力を備えているといいます。
デモでは、キャラクターが光の方を向き、光の色が変化し、その直後に爆発が起きるという6段階の複雑な指示を実行してみせました。同氏によれば、大半のモデルはこのような連続した因果関係を正しく処理できません。
さらにRay3では、静止画像の上に直接線を引くことで、キャラクターの動く軌跡を指定できる機能も加わりました。モデルはその描線に沿って被写体を動かす映像を生成します。
なぜ重要か
今回の連携は、単独でのユーザー獲得に多大なコストがかかる動画AI市場において、きわめて実利的な手配だと考えられます。
クリエイターにとって最大の魅力は、画面上の落書きで動きを決められる操作性です。これまで動画生成は意図した構図が出るまで何度も試行するガチャ状態になりがちでした。2週間の無料期間があるいま、絵コンテ作りやプリビズ制作を日常的に行うデザイナーはすぐに試す価値があります。
業界全体を見渡すと、動画モデルの競争は激化の一途をたどっています。Runwayが映像業界へ浸透を図る一方、GoogleのVeo 3は膨大なYouTube動画による学習リソースと基盤の強さで先行しています。Amazonやa16zの出資を受けるLumaとしては、Adobeという世界最大のプロ向けクリエイティブプラットフォームに乗っかることで、一気に制作現場の定番ツール入りを狙う構図です。
ただし、10秒の無音映像という仕様である以上、実際の映画撮影を丸ごと置き換える段階にはまだほど遠いのが実情です。2週間後の課金設定次第では個人や中小プロダクションの利用が定着しない懸念もあり、真の制作基盤になれるかは今後の実用性次第とみられます。
情報源 (2)
- hollywoodreporter.com(新しいタブで開きます)原文hollywoodreporter.com
- x.com(新しいタブで開きます)議論x.com