Liquid AIが「LFM2-VL」公開:エッジ端末向けの超軽量視覚言語モデル
Liquid AIは端末向け視覚言語モデル「LFM2-VL」をオープンウェイトで公開した。サイズは450Mと1.6Bの2種類で、スマホやウェアラブルなどの低リソース環境を想定。GPU推論速度は既存モデル比で最大2倍高速化された。Hugging Faceで配布され、年間売上1000万ドル未満なら商用利用も無償。

LFM2-VLは、Liquid AIが公開したオープンウェイトの軽量視覚言語モデル(VLM)シリーズだ。独自の液体基底モデルをマルチモーダル領域に拡張したもので、450Mと1.6Bの2サイズが用意されている。スマートフォンやノートPC、ウェアラブル、各種組み込み機器など、計算資源が限られた環境での低遅延推論を想定している。
仕組みと特徴
LFM2-VLは言語バックボーン、画像エンコーダ、マルチモーダルプロジェクタの3要素で構成されている。
言語モデル部には自社のLFM2を採用し、450MモデルにはLFM2-350M、1.6BモデルにはLFM2-1.2Bを組み込んでいる。
画像エンコーダにはSigLIP2 NaFlexを採用した。450M版には処理の速い86Mエンコーダを、1.6B版には解像力の高い400Mエンコーダを搭載。最大512×512ピクセルまでは拡大処理を行わずにネイティブ解像度で扱い、歪みなく非標準アスペクト比に対応する。
それ以上の大きな画像は512×512のパッチに分割して処理する。1.6B版では画像全体を縮小したサムネイルも同時に入力し、大局的な構図を把握しやすくしている。
プロジェクタには2層MLPとピクセルアンシャッフル技術を採用し、画像トークン数を大幅に圧縮した。256×384の画像ならわずか96トークン、384×680で240トークン、1000×3000の大型画像でも1020トークンに抑えられる。
最大の利点は、モデルを再学習することなく、推論時に画像トークンの上限やパッチ数をユーザー自身で調整できる点だ。遅延要件や利用端末に応じて、速度と精度のバランスを自由に設定できる。
速度とベンチマーク
最大の強みは推論速度にある。1024×1024の画像入力と短い指示文から100トークンを生成するテストにおいて、LFM2-VLは同クラスの既存モデル比で最大2倍高速に動作した。
ベンチマーク性能も高い。1.6B版はRealWorldQAで65.23を記録し、SmolVLM2-2.2Bの57.50を上回りInternVL3-2Bに匹敵する水準を示した。複雑な指示追従を測るMM-IFEvalは37.66、OCRBenchは742だった。
超小型の450M版でもRealWorldQAで52.29、OCRBenchで655をマークし、同規模のSmolVLM2-500Mを大きく上回っている。
利用環境とライセンス
モデルの重みはHugging Faceで公開されており、Colab向けのファインチューニング用コードも用意されている。
Hugging FaceのtransformersおよびTRLに対応しているほか、エンタープライズ向けにはLEAPプラットフォームを通じた個別最適化とマルチプラットフォーム展開もサポートする。
ライセンスはApache 2.0をベースとした形態だ。学術・研究目的は完全無償で、年間売上1000万ドル未満の中小企業や個人であれば商用利用も無償となっている。売上がその基準を超える組織は別途商用ライセンスの契約が必要となる。
なぜ重要か
ウェアラブル機器や監視カメラ、ローカルで動くデスクトップ向け画像認識ツールを開発しているなら、今すぐ試す価値がある。従来の小型VLMは端末上で動かすにはメモリ消費が重いか動作が遅いという課題があったが、450Mや1.6Bというサイズ感は端端末実装を現実的なものにする。
クラウドの超巨大モデルと競うのではなく、トークン圧縮とパッチ分割を工夫して「端末での実行速度を2倍にする」という実用性に振り切ったLiquid AIの判断は極めて堅実だと考える。複雑な長文推論には向かないが、現場の即時応答が求められるエッジ用途では強力な選択肢になるはずだ。
情報源 (1)
- liquid.ai(新しいタブで開きます)原文liquid.ai