ロサンゼルスの路線バスにAIカメラ搭載、違法駐車を自動検知
ロサンゼルス郡都市交通局(LA Metro)がバス車体にAIカメラを設置し、バスレーンや停留所を塞ぐ違法駐車の取り締まりを始める。撮影データは市交通局に送られ、人間が確認してから違反切符を発行する仕組み。今夏からテスト運用を行い、年内の本格稼働を目指す。

ロサンゼルスで日常的に車を運転している人なら、バス専用レーンにハザードランプをつけて停車する車にイライラさせられた経験があるはずです。その背後で、多くの乗客を乗せたバスが足止めを食らいます。
ロサンゼルス郡都市圏交通局(LA Metro)は、この問題に対処するため、バス車内にAIカメラを導入して違法駐車の取り締まりを開始します。
同局はテクノロジー企業のHayden AIと約5年間にわたる1100万ドルの契約を結び、計100台のカメラシステムを配備します。すでにウィルシャー通りを走る720系統や、ラ・ブレア通りを経由する212系統のバス約15台に搭載されており、今後は910、950、70系統にも拡大する予定です。
常時スキャンするが、記録は違反時のみ
街頭カメラと聞くとプライバシーへの懸念が真っ先に浮かびますが、今回の仕組みはその点に配慮しています。
Hayden AIの最高成長責任者を務めるCharles Territo氏によると、フロントガラス越しに道路をスキャンし続けるものの、データが録画・保存されるのは駐車違反の疑いがある車両を検知した瞬間だけだといいます。バス専用レーンに障害物がなければ、何の映像も残りません。
違反が検知されるとナンバープレートと証拠動画が記録されます。2021年に成立した州法に基づき、違反のない映像は15日以内に破棄され、違反映像も6か月または異議申し立てなどの手続き完了後60日以内に削除される規定です。
また、AIが自動で罰金チケットを即座に発行するわけではありません。データはロサンゼルス市交通局(LADOT)に送られ、最終的に人間の担当者が映像を確認して切符を切るかどうかを判断します。
今年夏に実証実験が始まり、2か月の周知期間を経て年末までの本格運用を目指します。運用開始後の最初の60日間は警告通知のみが送られ、罰金は発生しません。
なぜ重要か
バス専用レーンの塞ぎ込みは、運行ダイヤの乱れだけでなく、車いす利用者が歩道から直接乗車できないアクセシビリティ上の深刻な問題を引き起こしていました。このシステムが機能すれば、バスの定時性と利便性は大幅に改善される見込みです。
ドライバー側から見れば、「ちょっと2分だけ荷下ろし」という口実が通用しなくなります。走っているバスそのものが移動式オービスのように機能するためです。
今回の取り組みは、プライバシー保護のデータ消去基準を明確にし、最終判断に人間を介在させる設計にした点が現実的でスマートだと評価できます。市民の反発を最小限に抑える工夫が見られます。
懸念されるのは異議申し立ての手続きです。違反者は映像を確認して不服を申し立てる権利を持ちますが、現状でも審査には数カ月かかるケースがあります。AIの誤検知が増えたり人間側のチェックが甘くなったりすると、行政側の処理窓口がパンクするリスクを抱えています。
すでにニューヨークやワシントンD.C.でも類似の取り組みが進んでおり、公共交通車両をAI監視ノードに変える手法は、大都市の渋滞対策として世界的な標準になりつつあります。
情報源 (2)
- abc7.com(新しいタブで開きます)原文abc7.com
- latimes.com(新しいタブで開きます)報道latimes.com