ジョン・スチュワート氏がAI過剰宣伝を批判、Appleの話題規制も暴露
ジョン・スチュワート氏が「The Daily Show」でテック企業によるAIの過剰な宣伝を風刺しました。さらにFTCのリナ・カーン委員長との対談で、Apple TV+の番組制作時にAppleからAIの話題やカーン氏の取材を禁じられていたことを明かしました。
テクノロジー大手を風刺するコメディアンは珍しくありませんが、その話題を取り上げようとして番組を打ち切られた当事者が内幕を語るとなれば話は別です。
4 月 1 日の米トーク番組「ザ・デイリー・ショー」で、司会に復帰したジョン・スチュワート氏は AI をめぐるシリコンバレーの誇大広告を痛烈に批判しました。オープン AI のサム・アルトマン氏、マイクロソフトのサティア・ナデラ氏、グーグルのスンダー・ピチャイ氏らの発言映像を並べ、日常の労働を奪う脅威であるにもかかわらず、生産性を高めるアシスタントだと繕っていると指摘しました。プロンプトエンジニアのような新職種もすぐに自動化されると一蹴しています。
しかし、この日最大の波紋を呼んだのは、ゲストに迎えた米連邦取引委員会(FTC)のリナ・カーン委員長へのインタビュー中に明かされた暴露でした。
アップルが禁じた「AI」と「反トラストの顔」
スチュワート氏は、自身がアップルの動画配信サービス Apple TV+ で持っていた番組「The Problem With Jon Stewart」のポッドキャスト版にカーン氏を招こうとした際、アップルから直接「彼女とは話さないでくれ」と止められたと告白しました。
それどころか、今回のデイリー・ショーの冒頭で披露したような AI に対する皮肉めいた検証企画すら、アップルは制作を許さなかったといいます。スチュワート氏が「なぜ公共の場で議論することすら恐れるのか」と疑問を投げかけると、カーン氏は「少数の企業に過度な権力と意思決定が集中したときの危険性を示している」と応じました。
スチュワート氏の番組は 2 シーズンで打ち切りとなり、当時は創作上の相違と報じられていました。しかし同氏は 2 月の米 CBS 番組で、AI や中国といったテーマを取り上げようとしたことが原因の一部だったと語っています。アップルは巨大な製造拠点と市場を抱える中国でアプリ削除や AirDrop の仕様変更に応じるなど配慮を重ねてきた経緯があり、自社の AI 計画も 6 月の開発者会議(WWDC)まで伏せている状態です。
カーン氏率いる FTC は巨大テックの支配力強化に厳しい姿勢を取り続けており、直近でもマイクロソフトやアマゾン、グーグルによるオープン AI やアンソロピックへの出資を調査しています。さらにアップル自体も米司法省から独占禁止法違反で提訴されたばかりで、欧州ではデジタル市場法(DMA)に基づく対応に追われています。
なぜ重要か
このやり取りは、自前で動画配信を手がけながら言論空間をコントロールしようとするプラットフォーマーの危うさを浮き彫りにしたと考えます。
一般のユーザーや労働者にとって、スチュワート氏の指摘は AI の本質を突いています。便利なお手伝いという宣伝文句の裏で、企業は人件費削減を冷徹に計算しています。アップルがそうした批判の検証や規制当局トップの出演すら阻止したという事実は、間もなく本格展開される同社の AI 戦略がいかに外部の厳しい目に過敏になっているかを物語っています。
業界全体にとっても、アップルの対応は悪手だったように見えます。番組内での議論を封じ込めた結果、全米放送のデイリー・ショーでさらに大きな暴露として語られ、FTC トップ自身に「権力集中の弊害」を語る格好の具体例を提供してしまいました。司法省や欧州からの独禁法圧力が強まるなか、自社の配信番組で検閲まがいの介入を行っていたという事実は、独占的立場を乱用しているという批判をさらに強める材料になりそうです。
情報源 (3)
- youtube.com(新しいタブで開きます)原文youtube.com
- theverge.com(新しいタブで開きます)報道theverge.com
- businessinsider.com(新しいタブで開きます)報道businessinsider.com