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業界動向

米内国歳入庁がNvidia製AIスパコン導入へ:Blackwellサーバー31台構成

公開 拡散指数 40

米内国歳入庁(IRS)がNvidiaの「SuperPod」AIスーパーコンピュータクラスタの導入を計画していることが、2月5日付の調達文書で判明した。最新のBlackwellプロセッサを各8基搭載した31台のサーバーで構成され、税務詐欺の自動検知や機械学習モデルの開発・運用に活用される見込みだ。

米内国歳入庁がNvidia製AIスパコン導入へ:Blackwellサーバー31台構成
画像:theintercept.com

税金の徴収業務に、最新のAIスーパーコンピュータが投入されようとしています。

米調査報道メディアのThe Interceptが確認した調達文書によると、米内国歳入庁(IRS)はエヌビディアの最先端AIコンピューティングクラスタ「SuperPod」の導入を計画しています。設置場所はウェストバージニア州マーティンズバーグのデータセンターで、エヌビディアの最新チップ「Blackwell」を8基ずつ搭載したサーバー31台、計248基のプロセッサで構成される見通しです。

ハードウェアはまだ正式に購入・配備されておらず、契約書に具体的な金額は記載されていません。ただ、SuperPodシステムの価格は通常700万ドルからとされています。昨年には米連邦支援の研究機関MITREが、政府機関向けのカスタムAIモデルを構築するために約2000万ドルを投じて同種のシステムを導入していました。

膨大な納税データを自前で学習

IRSがこの巨大な計算基盤を何に使うのかについて、公式な回答は得られていません。文書には、複雑な機械学習ワークロードを処理し、大規模モデルの開発と運用を支えるための拡張可能なインフラが必要であると記されています。

システムの運用を担うのは、IRSの研究・応用分析・統計部門(RAAS)です。同部門のコンプライアンスデータウェアハウス事業は、以前から機械学習を活用して不正還付の検知やなりすまし対策、納税者の行動パターンの分析などを行ってきました。

IRSに詳しい税務弁護士のトラビス・トンプソン氏は、同庁が他機関にはない膨大な財務データを抱えていながら十分に活用できていなかったと指摘しています。独自のデータを迅速かつ大量に学習させる環境として、今回のハードウェア選定は極めて自然な流れといえます。

人員削減と自動化の思惑

調達の動きは、イーロン・マスク氏率いる「政府効率化省(DOGE)」の動向とも重なります。連邦官僚機構をAIやソフトウェアで置き換える方針を掲げるなか、関係者がIRSのITインフラ調査に入り、職員の作業を自動化する手段を模索していると報じられています。

IRS側にも以前から自動化を進めたい事情がありました。2024年6月の米政府監査院(GAO)の報告書は、毎年徴収しきれていない数千億ドル規模の税金を回収するため、AIソフトウェアの活用を提言していました。人員を削りつつ徴税目標を維持するためには、機械による自動化を急ぐ必要があります。

なぜ重要か

納税者や企業にとって、この動きは税務調査の精度の劇的な変化を意味します。これまで人手不足で見逃されていた複雑な租税回避スキームや帳簿の食い違いが、国税データ全体を学習した独自モデルによって瞬時にあぶり出されるようになる可能性があります。

技術面では、民間クラウドにデータを渡すのではなく、庁内設置のSuperPodで閉じたモデルを訓練するアプローチは、プライバシーや機密保持の観点から理にかなっています。

しかし懸念も残ります。コスト削減や人員削減を急ぐあまり、モデルの判断を鵜呑みにして人間による審査や異議申し立て窓口を削れば、誤検知によって一般市民が不当な調査対応に追われるリスクが高まります。不正の洗い出しに最新鋭の算力を使うのは賢い判断ですが、運用の透明性と人間の監視を保てるかが今後の大きな焦点になりそうです。

情報源 (1)

  1. [1]
    theintercept.com(新しいタブで開きます)原文theintercept.com

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