Iris Technologyが「webAI」β版公開、少量データで動くノーコードAI
1月の第1週、Iris TechnologyはノーコードAI開発基盤「webAI」の限定β版を公開した。同社によるとYoloV7と比べて学習データは5分の1、学習時間は3分の1で済み、一般的なノートパソコン上でのエッジ実行にも対応する。専門知識がなくても視覚モデルを構築できる。

コンピュータービジョン技術を自社製品に組み込む作業は、これまで膨大な計算資源と高度な専門知識を要するハードルの高い領域でした。
3年間のステルス期間を経て、Iris Technology はノーコードAI開発プラットフォーム webAI の限定ベータ版を1月第1週に公開しました。従来のアプローチを覆し、わずかなデータと計算能力だけで実用的なモデルを構築できる環境を目指しています。
ビッグデータ前提からの脱却
Iris Technology の共同CEOである James Meeks 氏によると、世界中にソフトウェア開発者が約5,500万人いるのに対し、AIの専門家はわずか30万人程度にとどまっています。その結果、従来の企業によるAI実験が本番環境へ配備される確率は約13%に低迷し、コンピュータービジョン分野でも実導入率は約10%に過ぎないと指摘します。
webAI はこの非効率な現状の打破を掲げています。同社によれば、リアルタイム物体検出モデルの代表格である YOLOv7 と比較して、webAI はわずか5分の1のデータ量、3分の1の学習時間でモデルを構築できるとしています。
もう一人の共同CEOである David Stout 氏は、業界に根強いビッグデータ信仰を否定し、開発者が予算やAIの専門経験に縛られず、リスクなく無料かつ高速にモデル改善を繰り返せる世界を目指すと述べています。
ノートPCで動くエッジ設計とデータ保護
技術面では、クラウド依存を脱却したエッジ対応が大きな特徴です。
作成されたモデルは特殊なサーバーを必要とせず、一般的な民生用ノートPC上で動作可能です。カメラなどのセンサー種別を選ばない設計となっており、様々なハードウェア環境へ即座に組み込めます。
また、ノーコード画面だけでなくフルコードモードも用意されており、非専門職のプロトタイプ作成から熟練エンジニアの高度な調整まで幅広く対応します。
知財とプライバシーの保護も重視されています。ブロックチェーン技術を用いた配信手法により、企業は自社の閉じた環境内でモデルを構築でき、学習データや成果物の知的財産権はすべて顧客側に帰属します。
なぜ重要か
私たちは、webAI が狙うエッジ特化と少データ学習のアプローチは、AI導入の現場が抱える最も切実なコスト課題に直結していると考えます。
一般的な開発者や中小規模の事業者にとって、高額なクラウド利用料や事前ライセンス費用を払うことなく、手元の端末で画像認識機能を試せる意義は非常に大きいです。実験が失敗した際のリスクが極めて低く抑えられます。
産業全体で見ても、すべてを巨大なクラウドに集約するトレンドに対し、軽量モデルを端末側で自律動作させる選択肢を示すことで、工場内の検品や監視機器などリアルタイム性が求められる現場のAI実装を加速させる可能性があります。
一方で、データ量を5分の1に削りながら多様な現実環境の変化にどこまで精度を維持できるかは未知数です。また、独自アーキテクチャの信頼性やブロックチェーン活用による運用負荷が実環境でどう評価されるか、今後の正式展開を見守る必要があります。
情報源 (1)
- techrepublic.com(新しいタブで開きます)原文techrepublic.com