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業界動向

Intel、企業向け生成AI会社「Articul8」を分社化

公開 拡散指数 38

Intelは投資会社DigitalBridgeなどの支援を受け、企業向け生成AI事業を独立会社「Articul8 AI」として分社化した。BCGとの共同開発が起点で、データを自社境界内にとどめたままオンプレミスやクラウドで運用できる。Intelは株式を一部保持し協業を続ける。

生成AIを社内に導入したいものの、機密データを外部のパブリッククラウドに送ることをセキュリティ部門が許さない。規制の厳しい業界では、これがAI活用の最大の壁になっています。

インテルはこの需要に応えるため、企業向け生成AIソフトウェア事業を独立企業としてスピンアウトさせました。新会社の名称は「Articul8 AI」で、デジタルインフラ特化の資産運用会社DigitalBridgeなどが支援を行います。

ボストン コンサルティングの機密環境で磨かれた基盤

Articul8の技術基盤は、インテル社内で約2年間開発されてきたソフトウェアがベースになっています。2023年5月にボストン コンサルティング グループ(BCG)と共同で実施した実証実験が直接の出発点です。

ロイターによると、インテルは自社ハードウェアとオープンソース、内製コードを組み合わせ、テキストと画像を扱える生成AIを構築しました。BCGの厳しい機密要件をクリアするため、モデルの学習から推論までをBCG自身のデータセンター内で完結させる仕組みを整えました。

当初はBCGが唯一の顧客兼パートナーでしたが、インテルはその後、金融、航空宇宙、半導体、通信といった高度なセキュリティが求められる業界へと適用範囲を拡大してきました。

新会社のCEOには、インテルのデータセンター&AIグループで副社長兼ゼネラルマネージャーを務めていたArun Subramaniyan氏が就任します。チームの多くも元インテル社員で構成され、インテルは非公開の株式を引き続き保有します。

Articul8のソフトウェアは、企業のセキュリティ境界の内側にデータと推論処理を留める設計が特徴です。インテルのハードウェア向けに最適化されていますが、競合のプロセッサを含む他社製ハードウェアでの稼働もサポートします。

巨額のファウンドリ投資を支える再編戦略

今回のスピンアウトは、パット・ゲルシンガーCEOが主導するインテル再建計画の文脈にも合致します。

米国や欧州での先端半導体工場の新設には膨大な資本が必要です。インテルはこれまでにもMobileyeの新規株式公開やNANDメモリ事業の売却を実施し、今後はプログラマブルチップ部門のIPOも計画しています。外部資本を呼び込んで事業を切り離す手法は、同社にとって実績のある資金調達手段です。

同時に、NvidiaがCUDAを中心に築いた強固なソフトウェア包囲網に対抗する狙いもあります。インテルはArticul8の製品を自社内でも活用するほか、共同で顧客に販売することで、自社製チップの需要喚起につなげる計画です。

なぜ重要か

企業ユーザー、とりわけ金融機関や通信事業者のような規制産業の担当者にとって、Articul8のようなオンプレミスやハイブリッド対応のAI基盤は現実的な選択肢になります。パブリッククラウド経由のAPI利用に二の足を踏んでいた企業でも、社内ファイアウォールの内側で完結するなら導入の決裁を取りやすくなります。

ただし、今すぐ飛びつくべきかどうかは既存のインフラ次第です。他社製チップにも対応するとはいえ、元々はインテル環境に最適化されたシステムです。既存のAI基盤がNvidia一色である場合、本来のコスト効率や処理性能を発揮できるかは慎重に見極める必要があります。

業界全体から見ると、インテルがソフトウェア部門をあえて外に出した判断は合理的だと考えられます。親会社の一部門のままであれば「インテル製チップを売るための抱き合わせツール」と見なされがちですが、独立会社であればマルチハードウェア対応を掲げて顧客層を広げやすくなります。

一方で、独立企業として収益を追求する以上、顧客からNvidia環境への最適化を強く求められた際にそれに応じざるを得ないという矛盾も抱えています。インテル製ハードウェアの消費を牽引するという本来の目的と、Articul8自身の事業拡大がどこまで両立できるかは注視すべきポイントです。

情報源 (1)

  1. [1]
    techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com

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