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Intel、世界最大の脳型コンピュータ「Hala Point」発表 11.5億個の神経元を搭載

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Intelは世界最大のニューロモルフィックコンピュータ「Hala Point」を発表した。1152個のLoihi 2チップに11億5000万個の人工ニューロンを詰め込み、電子レンジ並みのサイズに収めた。人脳のように記憶と演算を同時に行い、最適化計算では従来比100倍のエネルギー効率を実現するが、ソフトウェア面の課題も残る。

Intel、世界最大の脳型コンピュータ「Hala Point」発表 11.5億個の神経元を搭載
画像:newscientist.com

大規模言語モデルの巨大化に伴い、世界中のデータセンターが直面しているのが電力消費の限界です。従来のコンピュータはプロセッサとメモリが分かれており、その間でデータを往復させるだけで膨大なエネルギーを消費してしまいます。

米Intelは4月17日、人間の脳の仕組みを模倣したニューロモルフィック・コンピュータとして世界最大となる「Hala Point」を発表しました。

電子レンジ大の筐体に11億個の人工ニューロン

Hala Pointは、Intelのプロトタイプチップである「Loihi 2」を1152個搭載しています。人間の脳のように計算と記憶を同じ素子で担う人工ニューロンを11億5000万個集積し、毎秒380兆回のシナプス演算を実行できます。

これだけの性能を持ちながら、本体は標準的なサーバーケースの6ラックユニットに収まり、大きさは家庭用電子レンジ程度に過ぎません。IntelのMike Davies氏によれば、10億ニューロンという数字は「切りの良い数字だったから」選ばれたもので、ハードウェア的にこれ以上大きくできない技術的限界があったわけではないといいます。

現在競合となるシステムとしては、年内完成予定の「DeepSouth」がありますが、こちらの処理能力は毎秒228兆回と公表されており、Hala Pointの規模が頭一つ抜けています。Intelは、特定の制約下で最適解を見つけ出す最適化問題において、従来の標準的なマシンと比べて消費電力を100分の1に抑えられると主張しています。

ソフトウェアの未成熟と「学習」を巡る議論

しかし、この類まれなハードウェアを現場で即座に使うことはできません。最大の問題はソフトウェアの欠如です。

Davies氏は、実社会の課題をニューロモルフィック技術で処理可能な形式に変換するソフトウェア層こそが真のボトルネックだと認めています。この環境が未熟なため、現時点でこれ以上巨大なハードウェアを作ってもあまり意味がありません。

さらに、モデルの学習方法を巡っても専門家の間で意見が割れています。IntelはHala Pointのようなシステムによって、毎回最初から学習し直すことなく継続的に学習できるAIモデルが実現すると期待を寄せています。

一方で英サセックス大学のJames Knight氏は、これを「誇大広告(ハイプ)」だと一蹴します。ChatGPTのような現在のモデルは何千基ものGPUを並列動作させて学習させていますが、ニューロモルフィック計算は単一の入力を順次処理する仕組みのため並列化が極めて困難です。このハードウェア上で現在の規模のモデルをゼロから学習させようとすれば、何十年もかかる可能性があると指摘しています。

Davies氏もこの指摘に対し、現在のアーキテクチャがゼロからの大規模学習に向いていないことは認めつつ、事前学習済みモデルを取り込んで後から新しいタスクを効率的に継続学習させる用途を目指していると説明しました。

なぜ重要か

現在急速に普及しているTransformerベースのAIは、莫大な電力と計算リソースを力任せに注ぎ込むことで成り立っています。このアプローチがいずれ物理的・経済的な壁にぶつかることは明白であり、脳のエネルギー効率を真似るニューロモルフィック技術は、脱GPUの最有力候補として見過ごせません。

一般の開発者や企業にとって、今すぐHala Pointを試す価値があるかといえば、現時点では時期尚早です。専用のソフトウェア基盤が整っておらず、既存のコードをそのまま動かすことすら難しいため、当面は研究機関向けの実験機にとどまります。

それでもIntelがこの分野で着実に規模を拡大している点は注目に値します。GPU市場で競合他社に水をあけられている同社にとって、フォン・ノイマン構造そのものを覆す次世代アーキテクチャで先手を打つことは、中長期的な生存戦略として極めて合理的です。ただし、研究用のデモから実用ツールへと脱皮できるかどうかは、ハードウェアの性能以上に、開発者が参入しやすいソフトウェア環境をどれだけ早く構築できるかにかかっています。

情報源 (1)

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    newscientist.com(新しいタブで開きます)原文newscientist.com

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