Intel、AIの「脱クラウド」に賭け:Meteor LakeでエッジAIを推進
Intel の CEO パット・ゲルシンガー氏は、コストや遅延、プライバシーの制約から AI はクラウドを出てエッジへ向かうと主張した。年内投入の Meteor Lake に専用 AI ハードウェアを搭載し、80% を超える PC シェアを武器に、開発者のローカル AI 移行を促す構えだ。
最先端のAIモデルを動かすために、世界中がデータセンター向けの巨大なGPUを奪い合っています。しかし、IntelのCEOであるパット・ゲルシンガー氏は、AIがいつまでもクラウドの中だけにとどまることはないと見ています。
ゲルシンガー氏はドイツ銀行の技術カンファレンスに登壇し、AIのすべてをクラウドで処理することの限界を指摘しました。店舗やサプライチェーンでのリアルタイムな人流追跡や、Web会議でのリアルタイム音声翻訳を例に挙げ、これをクラウドで処理すれば遅延が体験を損ない、クラウド利用料も跳ね上がると語っています。
経済の法則、物理の法則、そしてプライバシーの法則が、AIを必然的にエッジ端末へと押し出すというのが同氏の主張です。
クラウド依存の限界と「エッジへの回帰」
もちろんIntelがデータセンター市場を諦めたわけではありません。
同社はNvidiaのGPUを一部上回る性能を持つ専用AI半導体Gaudiを展開しているほか、汎用データセンター向けGPUも販売しています。
さらに、延期を重ねて投入されたサーバー向けCPUであるSapphire Rapidsには推論処理向けのAIアクセラレーターが内蔵されており、Intelの試算では同製品の売上の約3分の1がAI用途によって牽引されています。
しかし、Intelが真に狙いを定めているのは、エンドユーザーの手元にあるPCです。
同社は今年後半にPC向け新プロセッサであるMeteor Lakeを投入する予定で、その最大の目玉は専用のAI処理ハードウェアを搭載することです。
ノートPCで巨大言語モデルを動かすことはできなくても、画像処理や音声処理といった軽量なAIタスクをCPUから切り離し、高速かつ低消費電力で実行できるようになります。
80%のシェアを武器にソフト開発者を巻き込む
端末側のAI半導体が普及するにはソフトウェアの対応が不可欠ですが、アプリ開発元にとっても端末処理への移行には強い動機があります。
例えばWeb会議ツールを提供する企業は、AI機能をクラウドではなくユーザーのPC上で動かすことができれば、高価なクラウドGPUの使用料を大幅に削減できます。
さらに強力なのが市場規模です。米国だけでもデスクトップとノートPCの稼働台数は約3億台に上ります。
ゲーム機やIoTを除いたx86 CPU市場において、Intelは現在も80%を超える圧倒的なシェアを保持しています。
競合のAMDも一部の最新ノートPC向けチップに専用AIハードウェアを先行して搭載していますが、ソフトウェア開発者が普及台数を重視する以上、真っ先に対応するのはIntel製チップになります。
なぜ重要か
一般ユーザーにとって、この変化はSF映画のようなAIがPCに宿るというより、もっと身近な実利として現れると私たちは考えています。Web会議中にPCが熱暴走しなくなったり、バッテリーの持ちが良くなったり、ノイズ低減が遅延なく動くといった地味ながら確実な改善です。今すぐこの機能のためにPCを買い替える必要はありませんが、近々買い替えを検討しているなら、AIアクセラレーター搭載モデルを選ぶ方が確実に長く使えるはずです。
業界全体から見れば、Intelは自社が圧倒的なシェアを持つホームグラウンドにAIの主戦場を引き戻そうとしています。クラウドの大規模学習市場ではNvidiaの牙城を崩すのは極めて困難ですが、エッジ端末での推論に軸足を移せば、80%を超えるx86の支配力をテコにしてエコシステム全体を動かすことができます。
私たちは、このIntelの戦略は非常に理にかなっていると評価しています。ただしリスクもあります。端末側AIの成否は、OSやアプリ開発者がどれだけ魅力的な日常体験を作れるかに完全に依存しています。キラーユースケースが生まれなければ、せっかくの専用半導体も宝の持ち腐れになりかねません。
情報源 (1)
- fool.com(新しいタブで開きます)原文fool.com
トピックを追うインテルのAIハードウェア戦略
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