生成AI使用が発覚した『Clair Obscur』、インディーゲーム賞のGOTY剥奪
Indie Game Awardsは『Clair Obscur: Expedition 33』のゲームオブザイヤーなど2部門の受賞を取り消したと発表した。開発に生成AIが使われていたことが判明したためで、同アワードはAI使用を一切認めていない。開発元は検証用の仮素材だったと釈明したが、賞は次点作品へ譲渡された。
トロフィーを手にしてからわずか48時間、栄冠はあっけなく手元から滑り落ちました。
12月18日に開催された「Indie Game Awards(IGA)」にて、話題の新作RPG『Clair Obscur: Expedition 33』が「Best Debut Game(最優秀デビュー作)」と「Indie Game of the Year(今年のインディーゲーム)」の2冠に輝きました。しかしそのわずか2日後、主催のSix One Indieは同作の受賞資格を取り消し、賞を次点の作品へ譲渡すると発表しました。
剥奪の理由は、制作過程における生成AIの使用が発覚したためです。
柱に貼られたポスターから始まった疑惑
発端はゲームのリリース直前にまで遡ります。
4月の発売前後、ゲーム内の柱に貼られたポスターの画像やテキストに生成AI特有の痕跡があることをプレイヤーが発見しました。開発元のSandfall Interactiveはリリース直後のアップデートでこれらの画像を密かに差し替えましたが、疑念が完全に消えることはありませんでした。
さらに7月、開発陣はスペイン紙『El País』の取材に対し、生成AIを「少しだけ、多くはないが」使用したと認めていました。アワード受賞を機にこの発言が再び掘り起こされ、批判が集中することになりました。
Sandfall側は報道への追記として、問題のポスターは2022年に新技術の実験を行った際の一時的な仮素材(プレースホルダー)であり、製品版に誤って残ってしまったものだと釈明しました。現在はゲーム内に生成AIで作られたアセットは一切存在しないと主張しています。
主催者が掲げる「ゼロ容認」の壁
しかし、主催者側のスタンスは徹底していました。
IGAの選考規約FAQには、「生成AIを用いて開発された作品は、ノミネート資格を一切持たない」と明確に規定されています。Six One IndieのクリエイティブディレクターであるMike Towndrow氏は、選考応募時には生成AIを使用していないと同意されていたものの、実際には規約に違反していたため失格処分を下したと説明しました。
これにより、年度代表作の座は『Blue Prince』へ、デビュー作賞は2024年発売の『Sorry We’re Closed』へと繰り上げ授与されました。なお、同アワードでは軍需起業家Palmer Luckey氏が率いる企業から支援を受けている別のスタジオも価値観の不一致を理由に資格を剥奪されており、主催者の強いポリシーが浮き彫りとなっています。
なぜ重要か
今回の騒動は、ゲーム業界が直面している「AI排除の理想」と「開発現場の実態」のズレを浮き彫りにしました。
プレイヤー目線で見れば、仮素材がわずかに混入していたとしても、作品が持つ映像美やゲームデザイン自体の価値が全否定されるわけではありません。もともと10人未満の小規模チームが多いインディー界隈において、本作はAAA級の規模感ゆえにインディーと呼べるのかという議論すらありました。
私たちが考えるに、主催者の決定は規約に厳格で筋が通っているものの、今後の審査に重い課題を突きつけました。数年前の初期検証段階で一時的に使われ、すでにパッチで削除された仮素材すら命取りになるなら、開発現場はどこまで「AIの潔白」を証明できるのでしょうか。
現状、ゲームの内部データからAI関与を客観的に検出する技術はなく、申告とファンの告発に頼るしかありません。AIツールが制作ソフトに溶け込む中、絶対的な禁止ルールを維持することの難しさは増すばかりです。
情報源 (1)
- avclub.com(新しいタブで開きます)原文avclub.com