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英歌手イモージェン・ヒープ、AI音楽基盤「Jen」で公式フィルター提供

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グラミー受賞歌手イモージェン・ヒープがAI音楽基盤「Jen」で代表曲をベースにした5種の生成フィルターを発売した。テキスト指示と楽曲を組み合わせ、4.99ドルから生成できる。著作権侵害の懸念が強い同業界で、正規許諾による収益化モデルを提示した形だが、現在はインスト曲のみ対応する。

英歌手イモージェン・ヒープ、AI音楽基盤「Jen」で公式フィルター提供
画像:hollywoodreporter.com

生成AIをめぐり音楽業界とテクノロジー企業の法廷闘争が続くなか、グラミー賞受賞アーティストのイモージェン・ヒープは自らAIのなかに飛び込む決断を下しました。

ヒープは音楽生成AIプラットフォームのJenと提携し、自身の楽曲をもとにした5種類のスタイルフィルターを正式にリリースしました。昨年11月にポルトガルのWeb Summitで提携が発表されてから数カ月を経ての一般提供開始となります。

対象となったのは「Headlock」「Goodnight and Go」「Just For Now」「Last Night of an Empire」「What Have You Done to Me」の5曲です。

5ドルで90分間の楽曲生成を開放

使い方はシンプルで、Jenの画面で作りたい音楽のテキストプロンプトを入力し、ヒープの楽曲を選択すると、その曲特有の空気感やサウンドデザインを取り入れた新しいトラックが生成されます。

価格は1フィルターあたり4.99ドルで、より強くスタイルの影響を受ける高強度版は7.99ドルです。購入すると最大90分間の楽曲生成が可能になります。生成されたトラックは自由に商用利用できますが、別のAIモデルの学習データとして使用することは禁止されています。

なお、Jenは現在インストゥルメンタル楽曲のみに対応しており、ヒープの象徴であるボーカルの生成にはまだ対応していません。ただし共同創業者のシャラ・センデロフ氏によれば、将来的にボーカル製品も投入する計画です。

1曲ごとに個別に学習する完全許諾型アプローチ

Jenは音楽テックの起業家センデロフ氏と、レコードレーベルArtist Partner Groupの創業者マイク・カレン氏が共同設立したプラットフォームです。

最大手レーベルから無断学習を理由に訴訟を起こされているSunoやUdioとは異なり、Jenは正規許諾を得た音源のみで学習を行う倫理的なAIを掲げています。今回のフィルターも、それぞれの原曲1曲のみを使って個別に学習されています。

ヒープは、AIを無視することはできず、アーティスト自らが関与しなければ利益優先の勢力に主導権を奪われると語っています。彼女自身が徹底的に探した結果、倫理的な枠組みを堅持していたのがJenだったとしています。

なぜ重要か

動画クリエイターやインディーゲーム開発者にとって、わずか5ドルから8ドル程度で著名プロデューサーの音楽的テイストを取り入れたBGMを合法的に生成できる環境は魅力的です。著作権侵害のリスクを負わずに商用利用できる点は大きな安心材料となります。

業界全体にとって、Jenとヒープの試みは、訴訟一辺倒だったAI音楽ビジネスに対する現実的な代替案を示しています。曲単位でのライセンス契約を結び、アーティストに前払金と収益還元を行いながら専用モデルを構築する手法は、今後の権利処理の標準モデルになる可能性があります。

ヒープの立ち回りは非常に巧みだと考えられます。AIによる模倣をただ拒絕するのではなく、自ら公式のスタイル生成ツールとして提供することで、クレジット表記と収益化の主導権を握ったからです。

一方で課題もあります。単一の原曲のみで学習させたフィルターは、大規模モデルと比べて生成されるバリエーションが限定的になりがちです。また、ヒープ最大の魅力である重層的なコーラスワークを欠いた現状のインスト限定仕様では、どこまでユーザーを惹きつけ続けられるかは未知数です。

情報源 (1)

  1. [1]
    hollywoodreporter.com(新しいタブで開きます)原文hollywoodreporter.com

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