Hark、Web操作AIエージェント「Handoff」を発表 コスト10分の1をアピール
米スタートアップHarkは、ブラウザ操作を自律代行するエージェント「Handoff」を発表した。航空券予約などを代行でき、Online-Mind2Webベンチマークで97.7点を記録しつつ、利用コストは競合の10分の1以下と主張する。ただし比較対象は旧世代モデルで、最新のGPT-5.6などは含まれていない。

シリアルアントレプレナーのBrett Adcock氏が立ち上げ、5月にシリーズAで7億ドルを調達したAIスタートアップHarkが、初のプロダクトとなるWebエージェント「Handoff」を発表しました。
Handoffは、ユーザーに代わってDoorDashでの料理注文、ユナイテッド航空やデルタ航空の航空券予約、LinkedInでのスカウト送信などを自律的に実行するコンピュータ操作エージェントです。公式サイトでウェイトリストの受付が始まっており、今夏の終わりまでに提供される予定です。
APIのないWebを仮想マシンで動かす
Harkの調査によると、現代人はスクリータイムの約75%をブラウザ上で過ごしているものの、公開APIを備えたWebサイトは全体の1000分の1未満にとどまります。この溝を埋めるため、Handoffはタスクごとに独自のブラウザ、ファイルシステム、ターミナルを備えた仮想環境を立ち上げ、ユーザーの保存済みアカウント情報を使って人間のように画面を操作します。
同社は今回、他社のベースモデルに対する事後学習(SFTおよびGRPOアルゴリズムによる非同期強化学習)を採用しました。次のトークンではなく「次のアクション(クリックや入力)」を直接予測する仕組みで、自社での事前学習は年内後半を予定しています。デモ動画では、Adcock氏が音声で花の注文を指示し、曖昧なリクエストを含めて代理購入を完了させる様子が公開されました。
高スコアと低コスト、ただし比較対象には注意
Harkによると、Webエージェントのベンチマーク「Online-Mind2Web」において、Handoffは過去最高となる97.7を記録しました。これはOpenAIのGPT 5.4(92.8)やAnthropicのClaude Opus 4.8(84.1)、GoogleのGemini 2.5 Pro(69)を上回るスコアです。
価格面でも、入力100万トークンあたり0.18ドル、出力100万トークンあたり2.37ドルと、GPT 5.5の約10分の1の価格を提示しています。応答レイテンシも1ターンあたり0.8秒と主張しています。
しかし、この比較には注意が必要です。比較対象に選ばれたのは一世代前のモデルであり、最新のGPT-5.6やOpus 5、DeepSeek V4などの競合は含まれていません。また、競合のレイテンシ測定はHark独自の環境かつ最高推論レベルで実施されたもので、別ベンチマークのWebTailBench v2ではGPT 5.5が72.3を記録し、Handoffの68.6を上回っています。
なぜ重要か
ターゲットやウォルマート、オープンテーブルなど、APIが提供されていないWebサイトでの自動タスク代行は、多くのユーザーにとって実用性の高いツールになり得ます。旅行予約や返品手続きの自動化は魅力的ですが、決済情報やログイン権限をエージェントに預ける都合上、セキュリティや誤動作のリスクを考慮すると、今すぐ業務の中心に組み込むよりは、一般公開後の検証結果を待ってから試すのが賢明だと考えられます。
業界全体で見れば、GoogleやAnthropicなどの巨大テックに加え、Browser UseやAsideといったスタートアップがしのぎを削るブラウザ自動化市場において、Harkは「高価な事前学習を後回しにし、強化学習と低コスト運用に絞る」という戦術を取りました。10分の1のコストと低遅延というアピールは強力です。
一方で、他社のベースモデルに依存している以上、基盤モデルベンダーが同様のブラウザ操作機能をより安価に標準搭載してきた場合、優位性が急速に失われるリスクも抱えています。Harkが専用の実行インフラと操作精度でどこまで逃げ切れるかが今後の焦点になりそうです。
情報源 (2)
- venturebeat.com(新しいタブで開きます)原文venturebeat.com
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com