1枚の画像から動く3Dヘアを生成、オープンソースの「HairDeck」登場
単一のキャラクター画像から、スプリングボーン入りの3Dヘアカードを生成できるモデル「HairDeck」がオープンソースで公開されました。生成速度は約1秒と従来手法より33倍高速で、そのままVRM形式で書き出せます。モデルサイズは約2.45GBと軽量で、一般的なGPUでも物理演算対応の髪を作成可能です。

2Dイラストから3Dキャラクターを起こそうとしたことがある人なら、髪の毛のモデリングがいかに骨の折れる作業か知っているはずです。一般的な画像生成3Dツールでは、頭部と一体化した固まりメッシュになりがちで、首を振ってもヘルメットのように固まったまま動きません。
ゲームやアバターの現場では、短冊状のメッシュ(ヘアカード)を手作業で配置し、スプリングボーンを仕込んで揺らす手法が定番です。今回オープンソース化された「HairDeck」は、この一連の工程を自動化してくれます。
キャラクター画像を1枚入力するだけで、個別のヘアカードで構成された3Dヘアスタイルが生成され、物理演算用のスプリングボーンまで自動でセットアップされます。
ヘアカードを1つのトークンとして扱い、33倍高速化
これまでヘアカード生成の代表格だった従来手法の「CHARM」は、髪の制御点を順番に推論する自己回帰型だったため、生成に時間がかかり、短冊の向きが不自然に歪むことも珍しくありませんでした。
HairDeckは発想を変え、髪型を「順序のないヘアカードの集合」と捉えました。短冊1枚の形状や根元の位置、向きを1つのトークンにまとめ、集合拡散トランスフォーマーを使って全カードをまとめてノイズ除去します。
さらに別のモデルがスプリングボーンのチェーンを生成し、ジオメトリスキニングで髪とボーンを自動バインドします。入力画像から髪色をサンプリングするため、メッシュやグラデーションなどの複雑な配色もそのまま再現可能です。
CHARMのテストセットを用いた比較では、メッシュ化前のカード生成時間が33.7秒から1.01秒へと約33倍高速化しました。面精度の指標であるChamfer距離は44%改善し、カードの向きの誤差も半分以下に抑えられています。
2.45GBの軽量設計、そのままVRM出力可能
実用性の高さも魅力です。論文発表にとどまらず、コード、学習済みモデル、学習スクリプトがすでに公開されています。
Hugging Faceで配布されているモデルサイズは約2.45GBと非常にコンパクトです。NVIDIA製GPUだけでなくApple Siliconにも対応しているため、一般的なパソコンやMacBookでもローカル環境で動かせます。
VTuber制作者やインディーゲーム開発者にとって嬉しいのは、完成したアセットをそのままVRM形式で書き出せる点です。頭を動かせばボーンに沿って髪が自然に揺れるため、Blenderでボーンを1本ずつ仕込む手間が丸ごと省けます。
ライセンスは商用利用が可能なApache 2.0で、自分好みの絵柄に合わせてファインチューニングできる環境も整っています。
なぜ重要か
最近の3D生成AIは全体を一括で作る方向に向きがちですが、出力されるメッシュはトポロジーが荒く、実際の制作ラインには乗せにくいのが現実でした。HairDeckの賢い点は、業界標準の「ヘアカード+揺れものボーン」という実務直結のパーツにターゲットを絞ったことです。
クリエイターにとって、Blenderで何時間もかかっていた髪の短冊配置とウェイト塗りが、文字通り数秒で終わる価値は絶大です。観賞用ではなく、すぐに動かせるアセットが手に入ります。
対象がセルルックやアニメ調のキャラクターに特化しているため、リアルな毛束や複雑な三つ編みなどにはまだ向きません。それでも、物理挙動用のボーンまで生成パイプラインに組み込むアプローチは、今後のキャラクター制作AIのスタンダードになり得る実用的な一歩と言えます。
情報源 (1)
- hyzcluster.github.io(新しいタブで開きます)原文hyzcluster.github.io