GradiumがオンデバイスTTS「phonon-31m-en」公開:64.5MBでブラウザ内でも動作
Gradiumが軽量な英語音声合成モデル「phonon-31m-en」を公開した。Pocket TTSとMimiコーデックを基盤にしており、8ビット量子化後のファイルサイズはわずか64.5MB。スマホやブラウザ上でオフラインかつストリーミング再生可能で、Apache 2.0ライセンスで商用利用にも対応する。

phonon-31m-enは、端末上で完全に動作する超軽量な英語テキスト読み上げ(TTS)モデルだ。
8ビット量子化された重みファイルはわずか64.5MBで、パラメータ数は31M。GPUを一切必要とせず、一般的なノートPCのCPUやスマートフォン、さらにはブラウザの単一タブ内でもオフラインで軽快に動作する。
何ができるか
入力された英文を24kHzの自然なモノラル音声に変換し、ストリーミング再生に対応する。文全体の生成完了を待つことなく、生成された断片から即座に再生が始まるため、待ち時間をほとんど感じさせない。
ネット接続のないオフライン環境のアシスタントや、Webページの読み上げ拡張機能、アクセシビリティツール、さらにはHome Assistantのローカル音声エンジンなどに組み込む用途に適している。
公式リポジトリには約100種類のプリセット音声が用意されており、好みの声を選んで手軽に切り替えることができる。
仕組みとベンチマーク結果
わずか数十メガバイトのサイズで自然な音質を実現できた背景には、Pocket TTSのアプローチと、Kyutaiが開発したMimiオーディオコーデックの組み合わせがある。
内部ではFlow-matching Transformerが80ミリ秒ごとの音声潜在表現をテキストから予測し、Mimiデコーダーがそれを波形に復元する。構造が極めてコンパクトなため、計算負荷が非常に低い。
468人の評価者によるブラインド比較テスト(計8,290票)では、Eloレーティング2098を記録し、オープンソースモデルのKokoro(2043)やNeuTTS(2034)を上回った。
数字や日付、単位、記号が多用された難易度の高い文(Hard set)における単語誤り率は1.5%にとどまり、Kokoroの3.5%やMagpieの28%と比較しても高い読み上げ精度を示している。
ただし対応言語は英語のみで、他言語の読み上げには対応していない。また長文は文ごとに分割して処理されるため、段落全体にわたる抑揚の滑らかさには一定の限界がある。
モデルの重みとボイスデータはApache 2.0ライセンスでHugging Face上に公開されており、商用利用が可能だ。ランタイムもPython、npm、C++など幅広い環境向けに提供されている。
なぜ重要か
開発者にとって、phonon-31m-enは音声合成の導入コストを劇的に下げる実用的な選択肢になる。クラウドAPIの従量課金や通信遅延、ユーザーのプライバシー問題を気にする必要がなく、Webアプリやモバイルアプリ内に64.5MBのアセットとしてそのまま同梱できるからだ。
巨大なパラメータ数を競うのではなく、エッジデバイスで確実に動く実用性に特化したアプローチは非常に合理的だと感じる。表現力重視のスタジオ録音向けTTSとは住み分けつつ、即応性とコストゼロが求められるオンデバイス対話アプリの定番ツールになりそうだ。
情報源 (1)
- huggingface.co(新しいタブで開きます)原文huggingface.co