GoogleがVeo 3を刷新:全般値下げに加え、1080pと9:16縦型動画に対応
Googleは動画生成モデル「Veo 3」と「Veo 3 Fast」のアップデートを発表した。生成価格を全面的に引き下げたほか、9:16の縦型動画や1080p解像度に対応。Gemini APIで本番環境向けの安定版となり、SynthID透かしも継続して付与される。

動画生成 AI はこれまで映画のような横長フォーマットを中心に進化してきましたが、実際のソーシャルメディアやスマートフォンの現場では縦型が主流です。横長で出力した動画を後から縦長にトリミングすると、被写体が見切れたり計算コストが無駄になったりする課題がありました。
Google は 9 月 8 日、Gemini API における動画生成モデル「Veo 3」および「Veo 3 Fast」のメジャーアップデートを発表しました。ネイティブの 9:16 縦型出力と 1080p フル HD 出力に対応したほか、API の利用料金を全面的に引き下げています。
あわせて両モデルは「安定版」となり、本番環境での大規模運用に耐えうる体制が整ったとされています。
縦型、高解像度、値下げを一度に投入
今回のアップデートにより、API 経由で aspectRatio パラメーターを 9:16 に指定するだけで、スマートフォンやソーシャルメディアに最適化された縦型動画を直接生成できるようになりました。
解像度も向上しており、resolution パラメーターに 1080p を設定することで、従来の 720p からより鮮明なフル HD 映像を出力できます。
利用料金も全面的に値下げされました。公式ブログのサンプルプロンプト内では、登場人物のセリフとして約半額になったと言及される場面もあり、高頻度な API 呼び出しを行いやすくする狙いがうかがえます。
開発者向けの実装例として、Google AI Studio 上で「MediaSim」というデモアプリも公開されました。tldraw のキャンバス SDK と Gemini のマルチモーダル理解・画像編集機能を組み合わせ、Veo 3 の動画・音声生成へと連携させる仕組みを示しています。
なお、生成されたすべての動画には、従来通り不可視の電子透かし技術である SynthID が付与されます。
なぜ重要か
モバイル向けアプリの開発者や、ショート動画マーケティングを手がけるクリエイターにとって、試す価値が非常に高いアップデートです。横長映像を無理に切り抜く必要がなくなり、1080p の画質と割安なコストで自動生成パイプラインを組めるようになります。
業界全体から見れば、動画生成 AI の競争軸が「技術デモの見栄え」から「本番環境での実用性とコスト効率」へシフトし始めたことを示しています。競合が映画品質の横長映像をアピールする中、Google はスマートフォン需要に直結する縦型と低価格化を優先し、Gemini API の利用者を一気に囲い込みにいく構えです。
このアプローチは非常に現実的で賢い判断だと評価できます。開発者が動画 AI の導入をためらう主な理由は、コストの高さ、解像度不足、そしてスマホ画面との相性の悪さだったからです。
ただし懸念点もあります。フォーマットや価格が改善されても、AI 特有の不自然な変形や時間的な一貫性の破綻が完全に解消されたわけではありません。人間のチェックなしで直接フィードへ流せるレベルの信頼性をどこまで担保できるかが、今後の本格普及の鍵になりそうです。
情報源 (1)
- developers.googleblog.com(新しいタブで開きます)原文developers.googleblog.com