Google、Geminiと動画生成AI「Veo」を統合へ 物理世界の理解を強化
Google DeepMindのデミス・ハサビスCEOはポッドキャスト番組で、Geminiと動画生成モデル「Veo」を将来的に統合する計画を明かした。VeoがYouTube動画から学習した物理法則の理解を組み合わせることで、現実世界で役立つ汎用デジタルアシスタントの実現を目指すという。

AIに物理法則を理解させたいなら、どれだけテキストを読ませても限界があります。重力や摩擦、物体の衝突といった現実のルールを覚えるには、映像として見せるのが最も手っ取り早い方法です。
Googleはこの課題を解決するため、自社の2大AIを合体させる準備を進めています。Google DeepMindのCEOであるDemis Hassabis氏は、LinkedInの共同創業者Reid Hoffman氏がホストを務めるポッドキャスト「Possible」に出演し、Geminiと動画生成AIのVeoを将来的に統合する計画を明らかにしました。
YouTubeを大量に学習して物理法則を理解する
Hassabis氏によると、Geminiは最初からマルチモーダルとして設計されており、その目標は現実世界で実際に人を助ける「汎用デジタルアシスタント」を実現することにあります。
現実を支援するには、物理世界の常識が欠かせません。Hassabis氏は、Veoの学習データの多くがGoogle傘下のYouTubeから供給されていることを示唆しました。膨大な量のYouTube動画を見続けることで、Veo 2は現実の物理がどう動いているかを把握できるようになっているといいます。
ただし、データの扱いには議論も残ります。Googleは以前、クリエイターとの規約に基づいて一部のYouTubeコンテンツを学習に使用している可能性があると回答していました。また、学習データを拡充するために昨年利用規約を改定したとも報じられています。
オムニモデルへと舵を切る業界の潮流
現在、生成AI業界全体がテキストだけでなく画像、音声、動画を自在に扱い、相互に生成できる「オムニモデル」へと急速にシフトしています。
Googleの最新Geminiはすでに音声や画像、テキストの生成に対応しており、OpenAIのChatGPT標準モデルも画像生成が可能です。さらにAmazonも、年内に「any-to-any」モデルを投入する計画を発表しています。
動画生成の能力を推論モデルに直接組み込むことは、AIが頭の中に現実世界のシミュレーターを持つことを意味します。
なぜ重要か
この統合計画は、AI開発競争においてGoogleが持つ最大の独自資産であるYouTubeを本格的に活かす動きだと私たちは考えます。
ユーザーや開発者にとって、物理世界を理解するGeminiは単なるチャットボットを超えた存在になります。工具を使った修理の映像を見せればネジの動きを予測したり、ロボットに搭載して現実の空間作業を行わせたりといった、身体性を持ったAI(Embodied AI)への道が一気に開けます。
競合他社にとっても大きな脅威です。OpenAIやAmazonも全方向のモデルを開発していますが、YouTubeほどの規模と多様性を持つ動画データを自前で抱えている企業は他にありません。テキストデータが枯渇しつつある中で、動画データは物理世界の常識を教え込むための貴重な資源です。
一方で、巨大なモデル同士を組み合わせることで推論コストが跳ね上がる懸念や、YouTubeクリエイターからの反発と著作権リスクは依然としてくすぶっています。それでも、動画を通じて物理法則を獲得させるアプローチは、真のアシスタントAIを目指す上で極めて合理的と言えます。
情報源 (1)
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com