Google、強化学習ロボット23台によるゴミ分別実験を公開:精度84%を達成
Googleはオフィスビルで23台の移動ロボットを活用した大規模な強化学習実験を発表した。シミュレーションと教室での反復訓練を組み合わせることで、最終的な分別精度は84%に達し、実際のゴミ混入率を40〜50%削減することに成功した。
オフィスのゴミ箱の前で、どれがリサイクルでどれが生ゴミ用か迷った経験は誰にでもあるはずです。Google はその仕分け作業を、強化学習ロボットの一群に任せる大規模な実験を行いました。
Google Research の Brain チームは、23 台の移動マニピュレータロボットを自社のオフィスビルに 2 年間配備し、ゴミの自動分別を行わせた研究結果を公表しました。
オフィスを巡回するロボット仕分け係
配備されたロボットの役割は、オフィス内を自律移動しながら、リサイクル用、コンポスト用、一般ゴミ用のボックスが並ぶステーションを探すことです。
ステーションに到着すると、ロボットは中を覗き込み、間違って捨てられたアイテムをアームでつかんで正しいボックスへ移し替えます。缶やペットボトルはリサイクルへ、紙コップや紙容器はコンポストへ、その他のゴミは埋立用ゴミ箱へと分類していきます。
人間には簡単な作業に見えますが、潰れたカップや濡れた紙など、形状も硬さもバラバラな物体をつかんで判別するのは、ロボットにとって極めて難易度が高い作業です。
Google は強化学習フレームワーク QT-Opt をベースに、4 段階のアプローチを採用しました。まずは単純なスクリプトによる基本動作から始め、RetinaGAN を使って実写に近づけたシミュレータ上で大量の基礎学習を実施しました。
ロボット専用教室で 54 万回の特訓
実際のオフィスだけに頼ると、日によってゴミの量が異なるため、データ収集の効率が上がりません。そこでチームは「ロボット教室」と呼ばれる専用施設を用意しました。
この教室では 20 台のロボットが配置され、模擬ゴミ箱を相手に計 54 万回の試行をこなしました。これと並行して、実際のオフィス 3 棟・30 カ所のゴミステーションでも実地投入され、3.25 万回のデータを収集しました。
240 通りのゴミ箱構成で計 4,800 回の評価テストを実施した結果、最終的なシステムの平均分別精度は約 84% に達しました。
さらに 2021 年から 2022 年の実運用ログによると、ロボットが介入したことで、ゴミ箱内の異物混入率を重量ベースで 40% から 50% 削減できたと報告されています。
なぜ重要か
これまで深層強化学習の成功例は、チェスや囲碁、ビデオゲームといった仮想空間や、クリーンな実験室内にほぼ限定されていました。光の当たり方や物体の状態が常に変化する現実のオフィスで、ロボットが安定してタスクを遂行するのは至難の業でした。
Google のこの試みは、シミュレーションと専用の「訓練教室」、そして現場での実地学習を組み合わせることで、強化学習が現実の雑多な環境でも十分に通用することを示した点で大きな前進と言えます。
もちろん、一般企業がゴミ分別のために高価なロボット群を今すぐ導入できるわけではありません。コストと運用負荷の観点から言えば、現時点で実用的な採算を取るのは困難です。
それでも、現場のデータ不足を補うために専用教室で 54 万回の反復練習を行わせるというアプローチは極めて合理的だと私たちは考えます。オフィス内の雑多なゴミを 84% の精度で処理できるようになったという事実は、将来の物流倉庫や廃棄物処理施設における完全自動化に向けた確かな足がかりになるはずです。
情報源 (1)
- research.google(新しいタブで開きます)原文research.google