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研究

Google「Project Suncatcher」:TPU搭載衛星を宇宙へ打ち上げ

公開 拡散指数 35

GoogleはSpaceXのロケットで試作衛星を打ち上げ、Trillium TPUが宇宙空間で稼働するか検証すると発表した。地上試験では5年分以上の放射線耐性を確認。地上の最大8倍の太陽光エネルギーを利用する軌道上データセンター構想の一環で、2027年には衛星間レーザー通信の試験も予定している。

Google「Project Suncatcher」:TPU搭載衛星を宇宙へ打ち上げ
画像:blog.google

地上のデータセンターが電力と冷却水の確保に追われるなか、Googleは宇宙空間に目を向けています。

Googleは、軌道上に機械学習インフラを構築する長期研究プロジェクト「Project Suncatcher」の詳細を明かしました。Planet社と共同開発したプロトタイプ衛星が、SpaceXの相乗り打ち上げミッション「Transporter-18」に搭載され、GoogleのTPU(Tensor Processing Unit)が宇宙環境で稼働できるかを検証します。

100Gの衝撃と陽子線照射を耐え抜く

地球低軌道までのロケット飛行は約10分間ですが、その間に衛星全体には最大10Gの加速度がかかります。内部のTPUチップ単体では局所的に50〜100Gもの負荷を受けるため、チームは打ち上げの振動周波数を再現する3軸の激しい加振試験を実施し、破損がないことを確認しました。

大気圏外に出れば、次は宇宙線や太陽フレアによる放射線が待ち受けています。電子機器のビット反転による計算エラーを防ぐため、チームはカリフォルニア大学デービス校クロッカー原子核研究所の陽子線照射施設でTrillium TPUの耐性試験を行いました。AIワークロードを稼働させながら照射したところ、5年間の宇宙ミッションで想定される積算線量を上回る放射線に耐えられることが確認されています。

真空での放熱とコインを射抜くレーザー通信

宇宙空間には空気が存在しないため、地上のデータセンターのような空冷ファンは使えません。

狭い面積に熱が集中するTPUを冷やすため、Googleはヒートパイプとラジエーターを組み合わせた放熱システムを設計しました。地上の熱真空チャンバーで試験を重ねてきましたが、実際の軌道上でどれだけ効率よく排熱できるかが今回の打ち上げで検証されます。

将来的には数十個のTPUを積んだ複数の衛星を群として連携させる構想です。そのためには移動する衛星同士を光レーザーで結ぶ必要があります。既存の宇宙用レーザーとは異なり、極めて短距離かつ超大容量の帯域が求められ、その照準精度は数マイル離れた場所から動く硬貨を撃ち抜くようなものだとチームは説明しています。この衛星間レーザー通信の試験は、2027年に2基の衛星を打ち上げて実施される予定です。

なぜ重要か

地球低軌道上では、太陽光をほぼ遮るものなく浴び続けることができ、地上と比べて最大8倍の太陽光発電電力を得られます。

私たちは、今回の取り組みが地上インフラの限界を見据えた極めて賢い長期布石だと考えています。AIモデルの巨大化に伴い、地上の電力網や冷却用水の不足が世界的な課題になりつつあるなか、宇宙空間の無尽蔵な太陽光エネルギーを活用する選択肢を検証しておく意義は小さくありません。

もちろん、一般の開発者や企業が今すぐ宇宙のTPUを使えるわけではありません。打ち上げコストや宇宙デブリの問題、軌道上で故障したハードウェアの修理が不可能な点など、乗り越えるべきハードルは山積みです。それでも、放射線耐性や真空冷却といった基礎的な工学的課題を一つずつ潰していくアプローチは、将来のインフラ競争において大きな先行者利益をもたらす可能性があります。

情報源 (1)

  1. [1]
    blog.google(新しいタブで開きます)原文blog.google

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