Googleが「Gemini Pro」APIを一般公開、毎分60リクエストまで無料提供
Googleは開発者や企業向けに「Gemini Pro」およびマルチモーダル対応の「Gemini Pro Vision」APIの提供を開始した。32Kのコンテキスト長や関数呼び出しに対応。Google AI Studio経由で毎分最大60リクエストまで無料で利用できる。

先週のデモ動画が世界中で大きな反響を呼ぶ中、Google は早くも開発者の現場へと切り込んできました。
Google は、同社の主力 AI モデルである Gemini Pro およびマルチモーダル対応の Gemini Pro Vision を、API 経由で開発者と企業向けに提供開始しました。
1分間に60回無料、AI Studio で即座に試作
個人開発者やスタートアップにとって最も手軽な入り口となるのが、Web ベースの開発ツール Google AI Studio です。
Google アカウントでログインすれば API キーを即座に取得でき、毎分 60 リクエストまで無料で利用できます。Google によると、これは一般的な無料枠の約 20 倍に相当する規模です。
提供される Gemini Pro は 32K のコンテキストウィンドウを備え、関数呼び出し、埋め込み、セマンティック検索、グラウンディングに対応します。世界 180 以上の国と地域、38 言語をサポートし、Python、Kotlin、Node.js、Swift、JavaScript の SDK も揃っています。
テキストと画像を入力できる Gemini Pro Vision も同時に開放されました。
注意点として、AI Studio の無料枠を利用する場合、個人情報は切り離されるものの、入力と出力の内容が製品改善のため人間のレビュアーによって確認される可能性があります。機密データを扱う場合は注意が必要です。
Vertex AI と Imagen 2 でエンタープライズを固める
厳格なデータガバナンスが求められる企業向けには、Google Cloud の Vertex AI 経由で提供されます。
Vertex AI では自社データを使ったファインチューニングや蒸留が可能で、顧客のデータが基盤モデルの学習に使われることは一切ないと明記されています。
同時に、画像生成モデル Imagen 2 も Vertex AI 上で公開されました。画質が大幅に向上し、従来難しかった多言語テキストの描画や企業ロゴの生成精度が大きく改善しています。
さらに医療向けモデル MedLM の提供や、コーディング支援 Duet AI for Developers の一般提供開始など、クラウド側の布陣を一気に固めてきました。
料金面では、来年初頭の一般提供開始までは無料枠内で試用でき、その後は文字数および画像単位の従量課金に移行する予定です。
なぜ重要か
今回の展開は、開発者エコシステムの主導権争いにおいて非常に実利的な一手です。
開発者にとって、毎分 60 回という手厚い無料枠はプロトタイピングのハードルをほぼゼロにします。コストを気にせず画像認識や自然言語処理を組み合わせたツールを試作できる価値は大きく、今すぐ試す価値は十分にあります。
業界全体で見れば、Google は最上位モデル Gemini Ultra の登場を待たず、量販モデルである Pro で OpenAI の GPT-3.5 陣営に直接揺さぶりをかけました。自社製 TPU による低コストインフラを背景に、価格競争を仕掛ける構図が鮮明になっています。
評価すべき点は、Web 試作環境、多言語 SDK、クラウド移行パスを同時に整え、開発者を自社のクラウド基盤へ誘導する導線を完璧に設計したところです。
一方で懸念されるのは、実際の業務タスクにおける処理精度です。デモの期待値が高すぎた分、実際の Pro モデルが複雑な推論で期待通りの性能を発揮できなければ、せっかく集めた開発者が再び他社サービスへ戻ってしまうリスクも孕んでいます。
情報源 (2)
- blog.google(新しいタブで開きます)原文blog.google
- blog.google(新しいタブで開きます)報道blog.google