Google Chrome、AIがUIを介さず操作できる「WebMCP」プレビュー公開
GoogleのChromeチームは新規格「WebMCP」の早期プレビューを公開した。サイト側がnavigator.modelContextを通じてツールを登録すれば、AIは画面上のボタンを探さず直接機能を呼び出せる。画面認識の模倣から確実なロジック連携への転換を目指すが、現在はCanary版でのテスト提供にとどまる。

この1年、AIエージェントに航空券を予約させたり買い物を代行させたりする試みは、画面のスクリーンショットを撮り、ボタンを探し、クリックを模倣するという力技が中心でした。しかしウェブサイトのレイアウトが少し変わるだけで、AIはいとも簡単に立ち往生してしまいます。
Googleはこの無駄な画面認識をスキップする仕組みを用意しました。
GoogleのChromeチームは2月10日、新規格「WebMCP(Web Model Context Protocol)」の早期プレビューを公開しました。WebMLワーキンググループの下で策定が進められている規格で、AIエージェントが人間のUIを介さず、サイト側が用意した構造化ツールを直接実行できるようにします。
画面解析からAPIの直接呼び出しへ
WebMCPの中核となるのは、ブラウザに追加されたnavigator.modelContext APIです。サイト運営者はregisterToolメソッドを使い、検索やカート追加、チケット予約といったサイト機能をAI向けツールとして登録できます。
Chromeの提案では、HTMLフォームを活用する宣言的APIと、JavaScriptで柔軟に制御する命令的APIの2種類が用意されています。開発者のAlex Volkov氏が「WebMCPはUIの中に組み込むAPIのようなものだ」と評したように、AIはボタンの場所を探す必要がなくなり、純粋なデータとしてウェブアプリの機能と対話します。
すでにコミュニティではZodによるスキーマ検証やテスト用パネルを備えたライブラリwebmcp-kitが登場するなど、周辺環境の整備も始まっています。試すにはChrome Canary 146以降を導入し、about:flagsでテスト用フラグを有効にする必要があります。
なぜ重要か
WebMCPは、AIによるウェブ操作を「視覚模倣」から「確実なロジック連携」へ転換させる重要な一歩だと考えられます。
これまで画面全体を認識させていたComputer Use型のアプローチは、レイアウト変更に弱くトークン消費も膨大でした。ブラウザ標準のAPIとして機能が提供されれば、開発者は既存のウェブ資産を最小限の手間でAI対応にでき、エージェントの処理速度と安定性は劇的に向上します。
同時に、これはGoogleによるブラウザ防衛策でもあります。OSレベルで画面を乗っ取るAIアシスタントが台頭するなか、Chrome自体をエージェントとウェブの調停役に位置づけ直そうとしています。
課題となるのはサイト運営者側のインセンティブです。広告表示やページ滞在時間で収益を上げているサイトが、どこまで進んでAI向けの直結窓口を設けるかは未知数です。それでも、AIを無理に人間らしく操作させる不毛なアプローチから脱却する道筋を示した意味は大きいと言えます。
情報源 (2)
- github.com(新しいタブで開きます)原文github.com
- developer.chrome.com(新しいタブで開きます)報道developer.chrome.com