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業界動向

GoogleとBlackstoneが50億ドル規模の新会社設立へ:TPU特化クラウドでCoreWeaveに対抗

公開 拡散指数 65

Googleと投資会社Blackstoneは、TPUに特化した米AIインフラ合資会社を立ち上げる。Blackstoneが初期出資として50億ドルを投じ、2027年までに500MW規模の稼働を目指す。Google Cloudの外で専用TPUを直接調達できる新チャネルを提供し、Nvidia製GPUを中心とするCoreWeaveなどの新興AIクラウドに対抗する狙い。

Googleの独自AI半導体「TPU(Tensor Processing Unit)」を利用するには、これまで同社のパブリッククラウドサービスであるGoogle Cloudを契約するしかありませんでした。

しかし、その構図が大きく変わろうとしています。Googleと世界的投資ファンドのBlackstone(ブラックストーン)は、TPUに特化した新しいAIインフラ合弁会社を米国で立ち上げると発表しました。Blackstoneが50億ドルの株式出資を行い、過半数の株式を握ると報じられています。ロイター通信によると、デットファイナンス(借入金)を含めると総事業規模は最大250億ドルに達する見込みです。

新会社は2027年までに500メガワット(MW)規模の計算基盤を立ち上げ、企業向けに「コンピュート・アズ・ア・サービス(計算能力のサービス提供)」を展開する計画です。

独自チップTPUを「スタンドアロン」で提供

新会社の最高経営責任者(CEO)には、Googleで長年データセンター設計やネットワーク部門を率いてきたBenjamin Treynor Sloss氏が就任します。

Googleは先月、トレーニング向けの「TPU 8t」と推論特化型の「TPU 8i」を発表したばかりです。TPU 8iにはレイテンシを5分の1に削減するエンジンが組み込まれ、TPU 8tにはメモリ読み出しを高速化する専用回路が備わっています。これらを直結する独自のネットワーク技術「TPUDirect」も投入されます。

AlphabetのSundar Pichai CEOは先月、金融機関など大口顧客向けにTPUを顧客自身のデータセンターへ展開することを容認し始めていました。今回の合弁会社設立は、従来の巨大パブリッククラウドという枠組みからTPUインフラを独立させ、専用の計算能力として直接外販する狙いがあります。

ネオクラウド対抗と「電力インフラ化」するAI

この動きは、急速に成長する「ネオクラウド(AI特化型クラウド)」市場を直撃します。Barron'sやMarketWatchは、Nvidia製GPUの貸し出しで急成長したCoreWeaveやNebiusに対する強力な対抗馬になると報じています。

ネオクラウド事業者の多くがNvidiaに依存しているのに対し、GoogleとBlackstoneの連合は自社製シリコンと巨大な私設インフラ資本を武器に挑みます。

500 MWという目標値は、AIコンピュートが単なるIT機器の導入から、発電や送電網の確保を伴う「重厚長大インフラ事業」へ変貌したことを示しています。Blackstoneは運用資産1.3兆ドルのうち1500億ドル以上のデータセンター資産を保有しており、豪Airtrunkや米QTSなどを相次ぎ買収してきました。同社の電力・不動産基盤とGoogleの半導体技術が合体する形です。

なぜ重要か

AIモデルの開発企業にとって、Nvidia製GPUの争奪戦や高価格化に対する強力な代替手段が手に入ることになります。Google Cloudのプラットフォーム全体に縛られることなく、大規模なTPU専用クラスターを直接確保できる選択肢が生まれるため、特に大規模な事前学習や推論を低コストで回したい開発者にとって検討価値の高いインフラとなります。

業界全体で見れば、Nvidia一強が続いてきたAIクラウド市場に、独自アクセラレータによる本格的な対抗軸が立ち上がることになります。AmazonのTrainiumやMicrosoftのMaiaなども、同様にクラウド本体から切り離された資本調達やインフラ展開を迫られる可能性があります。

この一手は、Googleにとって自社のバランスシートを圧迫することなくTPUの利用シェアを広げられる極めて合理的な戦略と言えます。一方で課題となるのはソフトウェア開発環境です。CUDAに慣れ親しんだエンジニアたちを、TPU向けスタック(JAXなど)へどれだけスムーズに移行させられるかが、この巨大基盤の稼働率を左右することになりそうです。

情報源 (3)

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    wsj.com(新しいタブで開きます)原文wsj.com
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