Google、自然保護に向けたAI施策を発表 動物識別モデル「SpeciesNet」をオープンソース化
Googleは生物多様性の保護と回復に向けた3つのAI施策を発表した。米州向けスタートアップ育成プログラムの開設やブラジルの非営利団体への300万ドル助成に加え、自動撮影カメラの写真から動物の種を識別するAIモデル「SpeciesNet」をオープンソース公開し、生態系監視の効率化を後押しする。

SpeciesNetは、Googleがオープンソース化した野生動物識別AIモデルです。野外に設置された自動撮影カメラ(カメラトラップ)の写真を解析し、写っている動物の種を自動で判別します。
野生動物の生態調査では、数カ月間設置したカメラから膨大な枚数の画像が回収されます。その中から風で揺れただけの空振りを省き、写っている種を人の目で特定する作業には、膨大な時間と労力がかかっていました。
何ができるのか
SpeciesNetはこの選別作業を大幅に自動化します。カメラトラップで撮影された写真から不要な画像を排除し、どの動物が写っているかを高精度に特定します。
このモデルは机上の研究にとどまりません。2019年以降、Google Cloudを活用したプラットフォーム「Wildlife Insights」を通じて、すでに世界中の数千人規模の生物学者がモニタリングや保護活動の意思決定に利用してきました。今回のオープンソース化により、開発者や研究機関、環境系スタートアップは、モデルを自前のシステムやローカル環境へ直接組み込めるようになります。
アクセラレーターと300万ドルの助成基金
SpeciesNetの公開は、Googleが3月3日に発表した自然保護に関する3つのAI施策の一つです。ツールの提供だけでなく、資金と育成プログラムも同時に始動します。
1つ目は「Google for Startups Accelerator: AI for Nature」の開設です。自然の保護や回復に取り組む企業を対象とした初の特化型プログラムで、米州のスタートアップを募ります。Googleのエンジニアによる1対1の技術メンターシップを含む10週間のバーチャルプログラムで、募集期間は2025年3月3日から3月31日まで、実施は5月から始まります。
2つ目はGoogle.orgによる300万ドルの助成基金です。ブラジルの気候社会研究所(iCS)と連携し、現地の非営利団体や研究機関が開発するAIソリューションを公募で支援します。対象領域は、2030年までに陸と海の30%を守る「30x30」目標に向けた生物多様性の回復、持続可能な木材・非木材製品を支えるバイオエコノミー、小規模農家を支援する環境再生型農業の3点です。
なぜ重要か
生態系の保全活動は、現場データの処理コストの高さと、研究者側のAI開発リソース不足という二重の課題を抱えてきました。高性能な画像認識モデルを一から学習させる余裕のある研究チームはごくわずかです。
実績あるSpeciesNetがオープンソースになったことで、現場の保護団体やエンジニアは自前の自動監視パイプラインを低コストで構築できるようになります。
助成金やインキュベーションだけでなく、中核となる識別モデルそのものを無償開放した点は極めて実用的です。保護活動のデジタル化を現場視点で一段階引き下げる取り組みと言えます。
情報源 (1)
- blog.google(新しいタブで開きます)原文blog.google