Google、新興国向けに「AI政策の黄金基準」10項目を発表
Googleは新興国の国家的なAI導入を支援する「AI政策の黄金基準」10項目を発表した。クラウドファースト政策や公共データの開放、中小企業支援、さらには過度な独自規制を避けて国際基準やデータマイニング例外規定を活用する法整備まで、実践的なロードマップを提唱している。
米ゴールドマン・サックスの試算によると、AIの普及は今後10年間で世界のGDPを7%押し上げる可能性があります。ただし、それは技術が社会の隅々まで行き渡った場合に限られます。
多くの新興国がインフラや規制の整備に悩むなか、Googleは9月16日、各国政府に向けた政策提言「AI政策ゴールドスタンダード10選」を公開しました。2024年に発表した枠組みを発展させたもので、3つの段階に沿ったロードマップを提示しています。
まずクラウドへ移行し、データを解放する
提言の第1段階はインフラ整備です。Googleは自前のモデル開発を急ぐ前に、まず「クラウドファースト」政策を徹底するよう求めています。好例として挙げられたのがシンガポールで、適格な政府業務の80%以上をパブリッククラウドへ移行済みです。
また、データの開放も重要視されています。インドの国家データ基盤「INDIAai」や、南アフリカで進む医療データの匿名化共有などが紹介されました。さらに、ルワンダのように官民共同で地元スタートアップへ投資するエコシステム作りも推奨しています。
政府が率先して使い、ルールは既存法から
第2段階の普及フェーズでは、政府自らがAIを使うべきだと説きます。ブラジルのミナスジェライス州では、Google CloudのAIを使って環境違反の処理や判例分析を効率化しています。オーストラリアの中小企業向け支援拠点や、UAEで5.4万人の公務員を対象にしたAI研修の事例も挙げられました。
第3段階の制度設計において、GoogleはISO 42001などの国際規格採用を推奨しています。著作権については、日本やEU、シンガポールのようにテキスト・データマイニング(TDM)の例外規定を設け、公開情報での学習を認めるべきだと主張。法規制もイスラエルのように既存の枠組みを活用し、硬直的な新法の導入は避けるよう求めています。
なぜ重要か
一見すると新興国支援のアドバイスですが、実質的にはメガテック企業による将来の市場開拓ルール作りと言えます。
Googleのアプローチは極めて巧妙です。「クラウドファースト」や「公開データでの学習容認」という推奨事項は、同社のようなパブリッククラウド事業者や基盤モデルベンダーにとって最もビジネスがしやすい環境そのものだからです。
現地の開発者やスタートアップにとっては、政府主導でデータがオープン化され、クラウド利用の敷居が下がるため、短期的には大きな追い風になるはずです。ゼロから政策を考えるよりも、実績のあるモデルを導入するほうが失敗も少なくなります。
しかし、この提言をそのまま受け入れれば、自国の重要インフラが米国の巨大テックに依存するリスクも抱えることになります。各国の政策担当者は、迅速な近代化と自国のデータ主権とのバランスをどう取るか、慎重に見極める必要があります。
情報源 (1)
- blog.google(新しいタブで開きます)原文blog.google